人生100年時代【技術士キーワード学習】

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人生100年時代について

2022年に発表されたWHOの統計では、男女合わせた平均寿命が最も長い国は我が国であり、ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている。
100年という時間をより充実したものにするためには、生涯にわたる学習が重要であり、若者から高齢者まですべての国民に活躍の場があり、安心して暮らす事ができる社会を作る事が重要な課題となっている。

 

人生100年時代の国の対応

幼児教育の無償化

3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園・保育所・認定こども園の費用を無償化し、0から2歳児についても、一部無償化している。

 

待機児童の解消

女性就業率が上昇し、保育を利用したい家庭が増えていく事に合わせて、すべての人が無理なく保育と仕事を両立できるようにする。
2021年時点では、待機児童数が2017年度と比較しておよそ5分の1に減少している。

参考:PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)

 

介護人材の処遇改善

介護職員に対して、経験などに応じて昇給する仕組みを作り、月額平均1万円相当の処遇改善を行っており、介護の担い手の確保を後押ししている。

 

リカレント教育

労働者が何歳になっても必要な能力・スキルを身に付けることができるように、リカレント教育機会の拡充に取り組んでいる。

 

高齢者雇用の促進

働きたいと考える高齢者の希望を叶えるために、高齢者の就業促進に取り組んでいる。高齢者雇用安定法では、定年の引上げまたは廃止、70歳までの継続雇用制度(再雇用など)の導入、業務委託などを事業主に求めている。

 

人生100年時代の、求められる姿

従来の定年にとらわれず、誰もが活躍できる社会とする。

本文では、人生100年時代における高齢者の活躍を後押しする方法について記述する。

 

人生100年時代の問題点と課題

多面的な観点から、人生100年時代の問題点3つ

ユニバーサルデザイン

身体能力の観点から、高齢に伴う筋力や視力の衰えがあっても通常と同じように業務を遂行する事ができる、ユニバーサルデザインが必要である。

 

学びなおし機会の確保

職業能力の観点から、第四次産業革命に伴い主にデジタルに関する技術革新が起こっているため、リカレント教育やリスキリング教育等、新たな時代にマッチした学びなおしの機会を確保する事が必要である。

 

技術の伝承

次世代育成の観点から、我が国のものづくり技術を次世代に残し、発展させていくために、デジタルの技術を活用しながらベテランの熟練者の技術を若手へ伝えることが必要である。

 

最重要課題

2025年には団塊の世代が全員75歳以上になり、総人口のおよそ4人に1人が75歳以上の超高齢社会を迎える見込みとなっており、短期的には高齢者の雇用期間を延長し、次世代の育成を行う対応が必須であることから、「技術の伝承」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

ICTを活用した技術伝承

センサやモーションキャプチャなどを使用して、熟練者のカンコツを見えるデータとして伝承できるようにする。タブレット等のデバイスで動作解析の映像を熟練者と若手が確認しながらフィードバックする事で、違いを把握し、理想的な動作へ改善する。

 

熟練技術のアルゴリズム化

大量の事象に対する判断をビッグデータとして収拾し、熟練者の判断をAIを使って解析する。その後、判断を全てAIにゆだねるか、AIにより解析された熟練者の判断基準を標準化し、一般の作業者が活用できる形式知に変換する事で熟練者の知識を保存する。

 

ナレッジマネジメント

熟練者と若手の技術伝承を1対1ではなく、会社全体でサポートする事で、熟練者の技術を会社の資産として保存するナレッジマネジメントを行う。これにより複数の熟練者のカンコツや知識を一般化し、新たな技術開発へ結びつける。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

熟練者の技術をデジタルによってデータ化し、保存可能な資産とする事で、少子高齢社会の中でも技術を確実に伝承する事ができる。また、保存された技術は俗人化されず、会社全体のノウハウとする事で、新たな技術開発の糸口になる事が期待できる。

 

解決策により新たに生じる懸念事項

熟練者の技術を保存するにあたり、会社側で保存方法、運用方法についての方針が決まっていない場合、保存した技術は参考にされず陳腐化してしまう可能性がある。

 

懸念事項の対策

データベースの作成を行う。それぞれ独立したファイルとしての概念でデータを保管する場合、データの検索に時間がかかる手間から使用をためらう可能性がある。業務フローの体系に沿ってデータベースを作成する事で、業務中の問題点や標準作業、カンコツに関わる情報などを検索しやすくする。現在はwebアプリでデータベースの閲覧ができるようになっており、タブレット等のICT端末を用いて現場でもアクセスする事ができる。

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