自動車の自動運転技術【技術士キーワード学習】

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自動車の自動運転技術について

自動車の自動運転技術とは

自動運転とは、運転を人の手によらず、機械が自律的に行うシステムを表しており、航空機ではオートパイロットという機能が古くから導入されている。昨今では自動車の自動運転が注目されている。

自動運転に関する基本情報|自動運転・ADAS技術のZMP

 

自動車の自動運転技術の背景

自動運転によって、交通事故の96%を占める運転者に起因する交通事故を減らすことや、不適切な車間距離による渋滞の発生、トラックドライバーの高齢化への対応、地方における公共交通機関の廃止への対応などが必要である。

 

自動車の自動運転技術の、求められる姿

自動運転技術により、自動車の安全性向上、運送効率の向上、新たな交通サービスの創出などが求められている。

 

自動運転技術のレベルについて

自動運転の技術は、レベル0から4の5段階に分けられる。

 

表1.自動運転のレベル分け

段階 名称 主体 走行領域
レベル0 運転自動化なし
レベル1 運転支援 限定的
レベル2 部分運転自動化 限定的
レベル3 条件付き運転自動化 限定的
レベル4 高度運転自動化 限定的
レベル5 完全運転自動化 限定なし

自動運転レベルとは?(2023年最新版) | 自動運転ラボ (jidounten-lab.com)

 

レベル0:システムは一切運転に関与しない

レベル1:自動ブレーキ、前の車に追従する、車線からはみ出さないなどの操作をシステムが行う

レベル2:レベル1のシステムを複合化・高機能化し、遅い車を自動で追い越したり、高速道路の合流を自動で行う

レベル3:レベル1の機能をすべてシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する

レベル4:限定された区間において、すべての操作に対してドライバーが関与しない

レベル5:すべての運転操作をシステムが行う

我が国では道路交通法の改正により、2020年4月からレベル3の自動運転にて走行が可能となっており、アウディやホンダによって、レベル3の量産車の普及が始まっている。

 

自動車の自動運転技術についての問題点と課題

自動車の自動運転技術多面的な観点から、自動車の自動運転技術の問題点3つ

 

自動運転のための情報取得

情報の観点から、自動運転には従来人間が行っていた情報取得をすべて機械が行う必要がある。そのために、車両のセンシング機器、周囲の交通状況、走行する道路の状況などにかかわる情報を取得するためのインフラや、取得された情報を処理する技術が必要である。

 

ハッキングの予防と対策

セキュリティの観点から、自動運転技術により自動車は高度にデジタル化され、ネットワークに接続されるようになることから、悪意のある侵入者により自動車のシステムを乗っ取られた際に、遠隔で盗難にあったりテロに使用される可能性がある。この際、運転手がネットワークから遮断し、自動車を遠隔操作から守る必要がある。

 

事故発生時と違反時の責任の所在

責任範囲の観点から、レベル4や5の自動運転では運転手が運転操作に関与しないことから、自動運転中に発生した事故や、速度超過・一時停止違反などの際の責任の所在はシステムなのか運転者なのか、ルールを整備することが必要である。

 

最重要課題

自動運転により我が国全体で享受できる恩恵が大きいことから、会社の壁を超えた協業が必要であると判断し、「自動運転におけるインフラの整備」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

自車位置特定精度の向上

車両が走行車線を的確に走れるように、GPSによる位置情報の取得に加えて、磁気マーカ等を道路に埋め込むことや、道路に固定されたカメラによる車両への情報提供、高精度な三次元マップとの組み合わせにより正確な自車位置の取得を行う。

 

自動車同士の通信による走行状況の把握

車両同士が速度情報や位置情報を共有するコネクテッドカーの技術を活用して、車線変更や車間距離の調整、合流してくる車両との距離の確保などを行う。

 

AIによる情報整理と判断

自車の位置情報や道路情報、自動車同士の通信により得られる情報など、情報を複合的に分析し、最適な車線・経路・速度などを判断するためのAIを開発し、自動車の走行にフィードバックする。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

a)自動車が自立して情報を取得し走行を制御する事で、適切な速度や車間距離などを維持することができ、交通事故の減少に期待することができる。

b)自動運転技術を応用し、自動車を電子的にけん引する事で、物流業界の人手不足に対応することが期待できる。

c)自動車が完全無人で走行する事で、既存のタクシー配車アプリを応用し、移動したいときに自動運転車を呼ぶことで、新たな交通手段を獲得することが期待できる。

 

解決策により新たに生じる懸念事項

自動運転車がドライバー不在で走るようになると、燃料不足や電力不足により立ち往生する自動運転車が増えることが懸念される。

 

懸念事項の対策

自動車をEV化し、ワイヤレスで給電する仕組みを作ることで対応する。路面にワイヤレス給電機器を敷設し、走行するだけで自動で給電できるようにしたり、充電が必要になった場合に自動で充電スタンドに移動し、充電を行うようにする。

 

将来展望について

EVの給電に使用する電源を再生可能エネルギーとすることで、自動で電気を作り供給する事で、自動車の脱炭素化に貢献することが期待できる。

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