公共への影響を考慮した機械製品・設備の設計について【技術士キーワード学習】

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現代の機械製品・設備について

機械製品・設備が何らかの要因により故障・破壊すると、その影響が拡大し、社会や人々の生活に被害をもたらす事がある。

例えば、2022年には自動車部品のサプライヤに対してハッキングの被害があり、それによりメーカの生産が停止した事例や、通信キャリアの電波障害によって2日に渡りモバイル通信が不能になった事例などが起きている。

本論文では現代の機械製品・設備として生産に使用される工作機械を例に挙げ、対策について記述する。

 

機械設備が求められる姿

a)設備が故障・破壊しない事

b)設備が故障・破壊した際の影響が限定的、または早期復旧が可能である事

→今回は、b)について記述する。

 

公共への影響を考慮した機械製品・設備の設計についての問題点と課題

多面的な観点から、公共への影響を考慮した機械製品・設備の設計についての問題点3つ

設備異常の兆候発生時の通知

技術の観点から、設備異常が発生する前に挙動の変化等を察知して、故障が発生する前に保守を行えるような仕組みが必要である。

 

設備の保守人材の確保

人材の観点から、設備の異常が発生した際に、迅速に保守業務を行う事ができるような人材またはメンテナンス業者を確保することが必要である。

 

設備故障発生時の代替法案の策定

業務継続性の観点から、設備の故障が発生した際でも業務を継続できるように、代替生産方案または在庫の管理など、BCPの設定を行う事が必要である。

 

最重要課題

現代のものづくりではJITの考えが普及しているためメーカ側での余剰在庫が少なくなっており、サプライチェーン内のどの一社が生産不能になっても全体へ影響する事から、生産設備が故障しない仕組みが必要と判断して、a)設備異常の兆候発生時の通知を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

 

AIによる故障予知

設備に取り付けたセンサから振動や負荷等の数値を計測して、設備の異常を監視する。AIによって設備異常の兆候を分析する事で、設備が故障する前に交換が必要な部品を特定する。

 

IoTによる異常の通知

工作機械のCNC装置をネットワークに接続し、故障の予兆が発生した際に事務所へ通知する。同時に交換が必要な部品の社内在庫を照会し、不足している場合はメーカに自動で発注する。

 

ARゴーグルを活用した保全方法の指示

メーカの保全サービス担当者が現地に来る前に、サービス部門とARゴーグルで連携する事で、自力で交換できる部品はゴーグル内に指示を出して対応する。専門の知識や技術が必要な部品の場合は、移動の間に現場に関する情報を提供し、来社後に素早く対応する。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

設備故障の兆候を事前に検知、通知する事で、故障発生前に部品を手配し、設備保全にかかるリードタイムを短縮する事ができる。

 

解決策により新たに生じる懸念事項

設備をネットワークに接続する事、ARゴーグルを通して現場の映像を撮影する事から、第三者に情報が漏洩する事が懸念される。

 

懸念事項の対策

ネットワークに対して十分なセキュリティ対策を行う。

a)入口対策

b)内部対策

c)出口対策

 

将来展望について

我が国の人口減少に伴い、製造業の人材不足から、設備のメンテナンスに携わる社内人材が継続して減少する事が見込まれる。デジタルの技術を活用して事前に素早く異常処置を施す事で被害を軽減し、必要に合わせて作業指示、または専門の技術者に情報提供をする事で、人材不足に対応できることが期待される。

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