MaaSについて【技術士キーワード学習】
MaaSについて
MaaSとは
Mobility as a Serviceの略で、バス・電車・タクシー・ライドシェア・シェアサイクルなどあらゆる公共の交通手段を、ITを利用して結び付け、人々が効率よく便利に使えるようにするシステムの概念である。
MaaSにはレベルが0~4までの5段階存在しており、我が国のMaaSレベルは1~2となっており、欧米の3~4に対して後れを取っている。
MaaSのレベル分け
静的・動的データ(MaaS構築の基盤)の段階
- レベル0:統合無しで、単体のバラバラのサービスの段階
- レベル1:情報の統合による複数交通モードの検索や運賃情報の段階
主なデータは駅、バス停、空港、路線、便、時刻表、運賃などの静的データおよび遅延、到着予測、車両位置、運行情報などの動的データである。
予約・決済データの段階
- レベル2:複数の交通モードのルートを検索、予約、決済できる。
主なデータは予約・決済に必要な各種データである。Googleをはじめとして、国内でもYahoo!や旅行会社等によりサービスが提供されている。
分野横断的なサービスの提供の段階
- レベル3:複数の交通サービスを定額制で提供、またはパッケージ化して提供する
- レベル4:街づくりとの連携、交通制御等による人・物のコントロール
MaaSの背景
我が国では、都市部と郊外でモビリティの整備状況が大きく異なっており、特に郊外では人口減少などの理由により電車やバスが廃止され、タクシーの量も多くない、またはサービスが提供されていないなど交通の利便性が低下している。
MaaSの、求められる姿
各地域の交通特性に合わせたモビリティ提供
MaaSについての問題点と課題
多面的な観点から、MaaSの問題点3つ
同一プラットフォーム上での運営
利便性の観点から、各地区や各サービス毎で異なるアプリケーションを提供する場合、ユーザ体験に影響が出てしまうことから、プラットフォームの連携または共通のプラットフォーム上でサービスを提供する事が必要である。
法律面での対応
仕組みの観点から、データの共有に関するルールや、旅客輸送に関わる免許に関するルールなど、法律面での対応が必要である。
セキュリティ対策
情報セキュリティの観点から、サイバー攻撃により予約システムや自動運転技術等の乗っ取りが行われることを防ぐために、セキュリティ対策を行う必要がある。
最重要課題
MaaSのレベルを向上するために最も重要な部分は各企業・各分野の協業であることから、「同一プラットフォーム上での運営」を最重要課題と考える。
最重要課題の解決方法
プラットフォーム提供者の立ち上げ
モバイル決済の立ち上げを参考にして、プラットフォーム提供者を擁立する。プラットフォーム提供者はポイント還元や旅行サービスとの連携を通してサービスを開発する。
プラットフォーム向けサービスの構築
モビリティ会社は自社単独のサービス料金の他にも、プラットフォーム向けサービスまたは自社サービスのプラットフォーム向け価格を提供する事で、販売促進につなげる。
プラットフォームと自社業務の振り分け
AIを活用して業務の割り振りを行う。自社の業務を遂行しながらプラットフォーム向けの業務を割り振ることで、従業員一人当たりの業務生産性を向上する。
解決策による波及効果と懸念事項
解決策による波及効果
MaaSを同一のプラットフォーム上で運営する事で、郊外から都市部に移動した際も同じアプリケーションによってサービスを受けることが可能となり、利用者の利便性が向上する。また、サービスの提供者もプラットフォームから得られるビッグデータを基に新たなサービスの開発を行うことができ、更なる利便性の向上に期待できる。
解決策により新たに生じる懸念事項
プラットフォーム提供者とモビリティ会社のビジネス上の関係により、派閥の関係でMaaSプラットフォームごとにサービスを提供しない、価格を高く設定する等が考えられる。
懸念事項の対策
派閥の関係がない事業者に限定して、プラットフォーム提供の許可を行うか、国家主導で全モビリティ会社が登録したプラットフォームを提供し、民間のプラットフォームと競争を行うようにすることで、利便性を求めるユーザは国家提供のプラットフォームを利用し、価格の安さを求めるユーザは各民間プラットフォームを選択して利用するように、選択肢を残す。