品質データ改ざん防止について【技術士キーワード学習】

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品質データ改ざん防止について

品質データ改ざんが起こる背景

市場からの要求品質の高まりや要求納期の短縮を受けて、実力以上の目標を立てることにより、コンプライアンスよりも目標達成を重視する事によって発生する。

 

品質データ改ざん事例

 

2016 4月 三菱自動車 軽自動車の燃費試験不正を公表
5月 スズキ 燃費試験不正を公表
6月 神鋼鋼線ステンレス ばね用ステンレス鋼線の強度試験データで改ざんが発覚
2017 2月 三菱電線工業 シール材の寸法と材料物性の測定値で改ざんが発覚
6月 タカタ 欠陥エアバッグの異常破裂問題で経営破綻
8〜10月 神戸製鋼所 アルミ・銅、鉄鋼製品などで検査データの改ざんが発覚
9月 日産自動車 完成検査の不正(無資格検査員)が発覚
10月 SUBARU 完成検査の不正(無資格検査員)が発覚
10月 三菱伸銅 黄銅条や銅条製品の検査データを改ざん
11月 東レハイブリッドコード 自動車用補強材の検査データの改ざんを公表
11月 シチズン電子 LED部品などで製造拠点の偽装が発覚
12月 SUBARU 燃費・排出ガス検査不正が発覚
2018 1月 トーカン ゴム製品で品質データ偽装が発覚
2月 丸善石油化学 樹脂などの品質データねつ造と試験不正を公表
2月 三菱アルミニウム、 品質データ偽装を公表
立花金属工業、ダイヤメット
2月 宇部興産 低密度ポリエチレン製品で品質データのねつ造を公表
6月 三菱マテリアル 銅スラグ骨材工場がJIS認証の取り消し処分
7月 日産自動車 燃費・排出ガス検査不正を公表
8月 スズキ、マツダ、 燃費・排出ガス検査不正を公表
ヤマハ発動機
9月 日産自動車 精密車両測定の検査不正を公表
9月 SUBARU ブレーキや舵角などの検査不正を報告
10月 日立化成 エポキシ樹脂封止材で検査不正を公表
10月 KYB 免震/制振ダンパーで検査データの改ざんを公表
2019 1月 IHI 無資格者による検査(無資格検査)が発覚
3月 ジャムコ 航空機の内装品で無資格検査と業務規定違反が発覚
4月 スズキ 燃費・排出ガス検査不正以外の検査項目の不正を報告
8月 菱三工業 産業機器用鋳鉄製品で品質データ偽装を報告
2020 1月 デンソー 燃料ポンプの品質不具合で米国でリコールを届け出
2月 三菱電機 高耐圧パワー半導体モジュールで検査不正を公表
3月 デンソー 燃料ポンプの品質不具合で世界でのリコールに発展
4月 日立金属 特殊鋼・磁性材製品で検査データの改ざんを公表
9月 JSSJ シートベルトのベルト部分で強度データの改ざんが発覚
10月 三菱電機 車載ラジオで欧州無線機器指令の不適合品の出荷が発覚
10月 東洋紡 ポリブチレンテレフタレートのUL認証の取り消し
2021 1月 京セラ 有機材料および機能性材料でUL規格不正を公表
2月 東洋紡 新たに3種類の樹脂でUL規格認証の取り消し
2月 曙ブレーキ 自動車用ブレーキで品質データの偽装を公表
2月 小林化工 経口抗真菌薬への異種薬品混入で業務停止
3月 日医工 後発医薬品の不正な廃棄回避と試験の不実施で業務停止
3月 東洋紡 さらに3種類の樹脂でUL規格認証の取り消し
4月 三菱電機 電磁開閉器関連製品でUL規格不適合が発覚

偽装に不具合、品質不正 日本のものづくりをむしばむ病 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

品質データ改ざん防止についての問題点と課題

多面的な観点から、品質データ改ざん防止の問題点3つ

 

改ざんを発見し、未然に防ぐための方法の確立

仕組みの観点から、品質データ改ざんを検出することや、品質データを改ざんした人を特定できる仕組みを構築して、品質データ改ざんを未然に防ぐことが必要である。

 

問題解決をするための情報分析方法の確立

技術の観点から、過去のデータの収集や外部の情報収集などを通して解決につながる情報を分析し、品質に異常があった際の解決方法を確立する必要がある。

 

品質を作り込むための時間と予算の確保

コストの観点から、品質を作り込むための十分な納期と予算を確保し、要求仕様を満足できる開発環境を整備することが必要である。

 

最重要課題

データの改ざんは、自発的に行うものではなく、解決できないプレッシャーから逃れるために行うことが多いため、根本原因を解決することが有効であると考え、「問題解決をするための情報分析方法の確立」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

AIを使った問題解決事例データベースの作成

社内やインターネット、学会発表などにおける問題解決事例のビッグデータを収集し、AIに学習させることで、現在起きている問題の解決方法を検索しやすくする。Chat gptに代表されるように、AIの情報分析能力は既に発展してきており、事例集に対して適宜フィードバックを行うことで、将来の問題解決のために精度を向上させる。

 

熟練技術者からの技術伝承

熟練者のノウハウを動画や資料など、暗黙知を形式知化する取り組みを行う。問題が発生したときには形式知化された情報を通して対処を行いながら、ARゴーグルとオンライン会議ツールを組み合わせて熟練者者と視点を共有することで、より深い技術伝承を行い、問題への対処能力を訓練する。

 

ICTを用いた、社内外で情報交換を行う仕組みの構築

解決が難しい問題や、他部署または他社を巻き込んだ改善が必要になる場合、チャット・オンライン会議・社内SNSなどのICT技術を用いたコミュニケーションを行うことで、多くの専門家の意見を取り入れられるようにする。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

上記解決策を実行する事で、熟練者の技術がビッグデータの中に取り込まれ、AIに質問する事で解決方法を検索することができるようになる。また、解決が困難な問題や他者を巻き込んだ改善が必要な場合では、ICT技術を用いたコミュニケーションツールを使用する事で、多くの意見を取り入れて解決策を模索することができる。

 

解決策により新たに生じる懸念事項

情報をビッグデータ化してAIに取り込ませることで、自社の問題解決ノウハウは匿名化された情報として社外に流出することが考えられる。

 

懸念事項の対策

無料のAIサービスを使用せず、ビッグデータを収集しなくても使用できる有料のAIサービスを用いることで情報流出を防止する。

ノウハウの核心に近い情報の場合は、AIに学習させず、自社内のクラウドサーバ等に保管し、文書検索できるようにして利便性の向上のみの対策とする。

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