環境保全について【技術士キーワード学習】
環境保全について
SDGs関連における世界の各企業の取組として、グローバル企業が環境や人権に配慮した調達ガイドラインや内規を策定し、取引先の選別に活用する事例が存在する。このような状況の中で、自動車のEV化に関する環境保全について記述する。
調達ガイドラインの例
アップル
アップルは最高水準の社会・環境責任及び倫理的な行動に取り組んでおり、サプライヤにも製品の製造やサービス提供の際には安全な労働環境や環境に対する責任ある実践を求めている。
ユニリーバ
ユニリーバの持続可能性への取組として、環境負荷を軽減しながらビジネスを遂行する事があり、サプライヤにも連携を求めている。
環境保全の、求められる姿
製品の製造から廃棄までが一直線であるリニアエコノミーから、資源を再利用するサーキュラーエコノミーへの転換が求められている。
環境保全についての問題点と課題
多面的な観点から、の問題点3つ
回収システムの構築
仕組みの観点から、費活動後の製品の回収・リサイクル等により新たな資源投入量を抑制した製品作りができるような循環の仕組みが必要である。
回収された材料の再利用技術の開発
技術の観点から、回収された材料を再利用して、再び製品として使用できるようにする製品設計や回収技術、再利用技術の開発が必要である。
環境に配慮した商品の普及
人の観点から、環境に配慮した商品を増加させるために、消費者の参画を促すような法令など、官民一体となった取り組みが必要である。
最重要課題
サーキュラーエコノミーの例として、EVバッテリーの再生がある。現在自動車業界ではEVシフトが進んでいるが、使用年数が長くなるとEVバッテリーが寿命を迎えることから、数年後にはバッテリー廃棄問題が発生する事が予想されている。環境保全のためにはバッテリーを適切に処理する必要があることから、「回収された材料の再利用技術の開発」を最重要課題と考える。
最重要課題の解決方法
分解しやすい形状の設計
回収されたバッテリーを再利用するために、サイズを小さく、分解しやすい形状に設計する。例えば複数のバッテリーユニットを並列に組み合わせることで各モジュールを小型化し、取り外しやすくする。またバッテリーユニット自体も分解が行いやすい形状とすることで、分解後の作業を行いやすくする。
再利用可能な部位や、損傷・摩耗度合いの選別
分解されたバッテリーユニットを、損傷や摩耗の度合いによって部品単位で選別する事や、バッテリー自体の損傷度合いによって選別する事で、新しいバッテリーユニットとして再商品化する。
再利用を前提とした商品設計
EVのバッテリーは、劣化度合いが40%を超えると自動車用としての役目を終えるが、ほかの用途として再利用する事ができる。国内の大型蓄電システムやJR東日本の踏切電源などでEVバッテリーを再利用しており、定置蓄電池としてZEHやZEBの用途で使われることが予想されている。
参考:家庭用蓄電池でZEH時代を生き抜く秘訣 | ひだかや株式会社(岡山県倉敷市) (e-hidakaya.com)
参考:EV人気が生み出す大問題 「使用済み電池」をどう処分するのか? 実はそこに希望あるビジネスが存在した!(Merkmal) – Yahoo!ニュース
解決策による波及効果と懸念事項
解決策による波及効果
リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ移行する事で、新しい資源の投資を少なく、新たな価値を創造する事ができる。
EVのバッテリーを定置型蓄電池として再利用する場合、現状のディーゼル発電機による非常用電源を置き換えることでCO2排出を削減する事も期待できる。
解決策により新たに生じる懸念事項
環境保全対応型の製品を開発すると、環境への配慮をしない製品と比べてコストが高くなることが懸念される。
懸念事項の対策
自動車や家電のトップランナー制度に類似した制度により、サーキュラーエコノミー対応型の製品の普及を支援する。輸入製品にも適用する事で、環境負荷の小さい製品が市場に流通するようにフィルタリングする。