標準化の取り組みについて【技術士キーワード学習】

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標準化について

標準化とは

最適な秩序を得ることを目的として、共通に、かつ、繰り返して使用するための記述事項を確立する活動の事である。製造業では、「誰がやっても、同じ時間で、同じ品質のものができる」を目指すことが多い。

JISZ8002:2006 標準化及び関連活動-一般的な用語 (kikakurui.com)

標準化 – Wikipedia

 

標準化の取り組みの背景

少子高齢化による労働人口減少や終身雇用制の崩壊により、労働力の流動化が進んでいることや、女性や高齢者の労働参加率の向上、企業のグローバル化により、勤続年数・性別・年齢・国籍など様々なバックグラウンドを持った人々が同じ作業を行うことが増加し、経験やカンコツに頼った品質の確保や労働生産性の確保が難しくなってきている。

 

標準化の取り組みの、求められる姿

標準化の仕組みにより、誰もが安全かつ効率的に働くことができる製造現場を構築する事。

 

 

標準化の取り組みについての問題点と課題

多面的な観点から、標準化の問題点3つ

利害関係者との合意形成

マネジメントの観点から、業務には利害関係が存在し、一方に利益となっても他方には不利益になることがあるため、標準化にあたり全体最適の視点で各方面の理解を得てから活動を始める必要がある。

 

基準値の設定

数値化の観点から、定性的な表現や感覚的な表現の場合は人によって受け取る内容が変化してしまうことから、数値で基準を設定する事が必要である。また、基準となる数値を設定するための方針を決定し、その通りに動けば誰でも同じアウトプットになるような基準値の設定を考量する必要がある。

 

制定された標準の見直し

評価の観点から、時代の変化やメンバーの変化によって不都合となる場合があり、作業の生産性を向上するために、定期的に標準作業を見直すことが必要である。

 

最重要課題

標準化の最大の目的は「誰でも同じアウトプットとなるようにすること」であり、そのためには多様性への対応も必要である。例えば、若くて経験の豊富な作業スピードの早い人を基準とする場合ほかの人がついてこれず、逆に作業スピードが速くない人を基準にすると全体の生産性が落ちることから、「基準値の設定」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

製造業の現場では、生産性を高く、品質を良くするものづくりを目指しており、作業スピードの速い人に合わせて基準を定めることが理想であるため、最初に年齢や身体能力、言語の違いによる障害を取り除き、経験による作業スピードの差は教育によって解消する事で、理想に近い状態にする。

 

ユニバーサルデザインの導入

作業者の多様性に対応したユニバーサルデザインを導入し、誰でも同じスピードで作業ができる環境を作る。具体的には、文字を読むことが必要な作業では文字を大きくしたり外国語に対応したり、背の高さに依存した設備の配置であれば高さ調整用の台を設置したり、移動が必要な場合は物の搬送機または人の搬送機を取り入れることで、作業スピードの差を低減する。

 

AR技術を用いた作業指示および指導

ARゴーグルを使用し、作業工程ごとにタイムリーに作業指示を出すことで、作業標準を確認する時間を減らし、経験の違いによる作業スピードの差を低減する。

 

モーションキャプチャによる動作解析

作業スピードの速い人の動作をベンチマークし、モーションキャプチャソフトを使用して解析を行う。スピードが速い人の重心の位置、身体を動作させるタイミングなどをほかの作業者にも展開し、カンコツが身に付けやすいようにする。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

作業時の障害を解消し、経験の差を教育と訓練で解消し、作業を標準化する事で、人材の流動化や国際化、年齢層の広範囲化の前提条件の中でも作業スピードが統一されることが期待できる。

 

解決策を実行しても存在するリスク

ラインに入って間もない作業者や、体力が若年男性に劣る女性や高齢者など、標準化を実行しても埋めきれない作業スピードが存在する事が予想される。

 

懸念事項の対策

作業スピードに合わせた作業負荷の調整

埋められない作業スピードがある部分では、工程間のバッファを増やすことや、セル生産における担当工程の量を調整して作業負荷を調整する事で、全体最適を行う。

 

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