少子高齢化時代の人材育成【技術士キーワード学習】

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少子高齢化について

我が国では、人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時進行する少子高齢化社会となっている。

 

少子高齢化の背景

出生率の低下…第一次ベビーブーム期では4.3を超えていたが、2020年では1.34となっている。
20年出生率1.34、5年連続低下 13年ぶり低水準: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

少子高齢化の原因として、以下の2点があげられる。

 

人口減少時代の、あるべき姿

多様な選択肢が存在する現代では、晩婚化、未婚率は今後も上昇する見込みであることから、我が国の人口は今後も減少すると考えられる。政府の一億人国家シナリオでは、我が国の人口は2053年に1億人を割り、2090年に6700万人、2110年に5300万人まで減ると予測されている。

したがって、今後100年間でおよそ半分に人口が減少するため、今と同じ仕事を将来の人口でまかなうために、今後100年で2倍以上の労働生産性を実現する技術革新が必要であり、その一つに人材教育が存在する。

 

人口減少時代の人材教育についての問題点と課題

多面的な観点から、の問題点3つ

本論文では、製造業に携わる中小町工場の従業員を対象とした人材育成について記述する。

 

人材レベルのボトムアップ

人の観点から、高い労働生産性を実現するため、若手に限らず社員全体のレベルアップを目的とした人材教育を実施する必要がある。

 

効率的に教育を行う技術

技術の観点から、短時間で多くの専門的な知識の習得を可能にするための教育デバイスや教育技術の開発が必要である。

 

教育への投資

投資の観点から、教育の成果を加速するために、個人任せにせず会社からの投資によって人材教育を促進する必要がある。

 

最重要課題

中小町工場の現場では、コストの関係から短期的には設備よりも人への投資の方が行いやすいため、先に従業員のレベルアップが大事であると判断し、「人材レベルのボトムアップ」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

社内の自主的な学習に対する風土の改善と、教育に関する技術から解決する。

 

従業員の自発的な改善

ローコードやノーコードのアプリ開発の方法を全社に教育し、プログラミングの知識が無くても各従業員が自発的に作業改善を行える環境を作る。ここでは標準化は考えず、各個人の業務改善を通した仕事に対する俯瞰的な視点を教育する。

 

情報通信端末の活用

スマートフォンやタブレットなどの情報通信端末を活用し、従来の口頭や紙ベースでの教育から画像や動画を使用した教育へ転換し、教育時に伝える情報量を増やす。一度で理解できない部分は資料を見直すことで、理解を深める。

 

AIを使用した技術の伝承

先にAIに情報を与えて教育し、次にAIから人へ教育を行うことで、AIが導き出した理想のゴールを学習者へ示したり、学習者の反応に合わせて最適な教育方法を提案したりする。人の教える力に頼らない教育方法のため、教育品質を標準化する事ができる。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

上記解決策により自主的に改善提案を行う雰囲気づくりを行い、学習に対する意欲を高めると同時に教育技術の革新により学習自体の時間短縮が期待できる。

 

解決策を実行してもなお存在する懸念事項

今後も高齢化が続くことから、技術伝承の対象となる年齢層が高くなっていくことが予想される。文部科学省の調査では、年齢が高いほど今後の学習意欲について消極的な回答が多くなる傾向があり、会社側が学習環境を提供してもうまく活用されない可能性がある。

 

懸念事項の対策

複数の方法を活用して、学習の動機づけを行う。

a)昇進や昇給など学習成果に対するインセンティブを提供し、報酬型の動機づけを行う。

b)学習する人が多い環境に所属させて、関係志向型の動機づけを行う。

c)業務との関係を説明し、実用志向型の動機づけを行う。

d)指導者の役割を教師からコーチにすることで、内発的な動機づけを行う。

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