冷間鍛造とは?被加工材を常温で鍛造する工法。大量生産も得意です。

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冷間鍛造とは
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こんにちは、ものづくり王国にっぽんの管理人をしています、とも(@Japan_MFG_Tomo)です。

 

「日本のものづくりを盛り上げたい」という気持ちから、今までの専門であった切削加工から分野を変えて、鍛造業界に移籍してきました。将来はものづくり全体を網羅したい気持ちがありますが、とりあえずは加工分野から。

 

▼先日したツイートでは、たくさんの応援いいねをありがとうございました。

切削加工の基礎知識があるため鍛造の取り掛かりは苦労が少ないですが、
それでも結局は現場に出たもん勝ちなので、今は現場にてたくさんの工程を観察させてもらっています。

 

今回は「冷間鍛造とは」というテーマを取り扱っていきます。
細かい情報は参考の本を紹介したり、動画を貼り付けたりして紹介しています。
困った時にサラッと読めるようにブックマーク推奨です。

特に海外に行くとkindleでは鍛造の本は種類が少ないので、ブログ記事が便利ですよ。

 

 

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冷間鍛造とは

冷間鍛造とは、「熱間鍛造」に対する言葉で、再結晶温度以下で行う鍛造加工の事です。

「冷間」とは言いますが特に冷却する必要はなく、常温で加工します。

 

 

冷間鍛造の特徴

 

冷間鍛造の特徴は以下の3つ

  • 寸法精度、表面性状が良好
  • 材料に酸化被膜ができない
  • ニアネットシェイプ鍛造が可能

加熱せず熱変形が起こらないので、加工後の寸法悪化が起こりません。
したがってそのまま製品とする「ネットシェイプ」、もう少しだけ追加加工するけどほぼ製品形状である「ニアネットシェイプ」鍛造ができます。

 

熱間鍛造と同じく鍛造加工なので製品の強度が高く、各機械の重要な部位にも使用されています。

 

冷間鍛造の歴史

 

冷間鍛造の歴史は意外と浅く、1934年にドイツで初めて成功したと言われています。
この要因になったのがリン酸亜鉛皮膜処理ができるようになったから。

 

その後世界へ広まり、日本では1952年ごろから自転車用部品を作るのに冷間鍛造が使われ、1960年に自動車部品を作る加工技術になりました。

今ではチタンなどの難加工材を鍛造加工で製造する事もあり、医療関係への応用も進んでいます。

 

 

冷間鍛造の用途、メリットデメリット

冷間鍛造加工の用途は主に小型の部品。
加える力を集中させやすい形状であることが、冷間鍛造を上手くやる条件です。

 

主な加工方法は

  • 据え込み
  • 軸押し出し
  • 容器押し出し

の3つで、これらを組み合わせて

 

  • 軸対象の製品
  • カップ状の形状
  • つば出し加工

などの形状を作るのが得意です。

 

切削ではコストがかかる物、熱間鍛造で作るには必要な生産量が多すぎるものに対して、コスト上のメリットから冷間鍛造の技術が使われています。

 

冷間鍛造のメリット、デメリット

 

冷間鍛造のメリットは以下の3つ

  • 多量生産できる
  • 寸法精度、表面性状が良好
  • 材料の歩留まりが良好(使用する材料の量が、ほぼ完成品と同じ)

 

冷間鍛造のデメリットは以下の3つ

  • 加工圧力が高い
  • 金型費が高い
  • 大型の加工が苦手

 

金属を温めず、硬い状態で加工をするので加工圧力が高くなります。
またその圧力に耐えられる金型が必要で、したがって金型費が高くなります。

 

必要な加工圧力が高いので、大型の製品が苦手です。
加工負荷が大きすぎるので金型が耐えきれない事や、現状の設備では圧力を加えきれない事などが原因です。

 

冷間鍛造の製品例

 

冷間鍛造の製品例は以下のイメージ、上で説明したように、押し出したりしながら圧力を加えて作る形状が多いです。

 

引用:https://hiyoshi-k.co.jp/Cold/prodcts1/index.htm

引用:https://hiyoshi-k.co.jp/Cold/prodcts1/index.htm

 

引用:https://hiyoshi-k.co.jp/Cold/prodcts1/index.htm

 

引用:https://coldforging.jp/works-material/

引用:https://coldforging.jp/works-material/

引用:https://coldforging.jp/works-material/

 

 

冷間鍛造で加工する材質について

冷間鍛造で加工する材質は、

  • 炭素鋼
  • 合金鋼
  • ステンレス
  • チタン
  • ニッケル合金

などがあります。

 

冷間鍛造の加工の特徴から、「加工時は柔らかく、製品は硬く」という材料が好まれることがあります。
(被加工材を加熱せず、硬いまま加工するので加工負荷が低い方が嬉しい、使用するのは大事な場所なので製品は硬い方が嬉しい)

この時は焼き入れ可能な材質を選んだり、浸炭焼入れで表面を硬くしたり、あとは窒化処理などの後工程を入れることがあります。

 

 

補足:冷間鍛造でよく見かける材質の名前

冷間鍛造では、「SWRCH:冷間圧造用炭素鋼線材」という材料をよく見かけます。
Steel Wire Rods for Cold Heading and cold forgingから来ています。

 

似た材料では、「SWCH:冷間圧造用炭素鋼線」という材料もあります。

 

違いは、製鋼メーカーで作る線の元材料か、伸線メーカーで作るねじの材料かという違い。
SWCHはSWRCHから作ります。

 

上で紹介した材質に加えて、マンガンMn・クロムCr・ボロンB・ニッケルNiなど、性質を改善する元素を付加して材質を選択します。

 

各元素の効果は以下のようなイメージです。

元素記号 元素名 効果
Mn マンガン 焼き入れ性を向上させる。
靭性を損なわずに強度を増す効果を持つ。
Cr クロム 焼き入れ性、耐食性、耐酸化性を向上させる。
浸炭を促進する効果もある。
B ボロン 微量を添加するだけで
焼き入れ性を大きく増大させられる。
Ni ニッケル 強度、焼き入れ性、靭性を向上させる。
耐腐食性を改善する効果もある

 

 

他にも添加できる元素があります。詳しく知りたいかたはこちらの記事を参考にしてみてください。(外部サイト):
元素が鉄鋼材料の特性に与える影響とは(https://tech-navi.yamazaki-kikai.co.jp/column/元素が鉄鋼材料の特性に与える影響とは/

 

 

 

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