【調達担当者必見!】鍛造品のサプライヤの探し方【5分で分かる!】
こんにちは、トモ(@Japan_MFG_Tomo)です。
近年、ものすごい勢いで鍛造メーカが廃業されている話を聞くので、鍛造素形材の新たな仕入先を探している加工メーカにとって有益になる記事を書こうと思います。
題して、5分で分かる、鍛造品サプライヤの探し方。
全部で8ステップありますが、後半は通常の仕事の流れと同じですので、新規サプライヤとのつながり方について、力を入れて解説していきます。
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STEP1:鍛造メーカと出会う
本記事のもっとも重要なテーマです。
鍛造メーカはほとんどが中小企業、おそらくほぼすべてが非上場の会社です。
つまり、そこら辺を歩いていても、ほぼ見つかりません。
そこで、主体的に鍛造メーカと出会うための方法を3つ紹介します。
主体的に鍛造メーカと出会うための方法1:展示会を見に行く
鍛造メーカのビジネスレベルとして、加工メーカとのBtoB下請取引がメインです。
したがって一般消費者に訴えかけるような広告を打つことは稀なので、鍛造メーカが営業活動に出かける先に行くと、会うことができるかもしれません。
展示会のメリットは、直接話を聞いて、各社のこだわりが聞けることです。
逆に展示会のデメリットは、移動や展示を見るための時間が必要という事です。
鍛造メーカと出会える確率が高い展示会の種類は、以下の2つです。
- 地域の異業種交流会
- 製造系の展示会
詳しく解説します。
地域の異業種交流会
地域の異業種交流会では、近所の鍛造メーカが出展している事が多くあります。
理由は、商工会議所経由でブースを出せる事があるので、出展費用が安く抑えられるからです。
実際の事例で言うと、
展示会ご来場の御礼 | 株式会社大宮日進 (ohmiyanissin.co.jp)
とっとり企業ガイダンスに出展しました | 株式会社菊水フォージング (kikusui.org)
第12回 微細加工EXPOに出展しました|第12回 微細加工EXPOに出展しました!| (nittoseiko.co.jp)
等、地域の展示会に参加されている企業は多くあります。
地域の異業種交流会に参加することのメリットとして、
地理的に近いサプライヤを探すことができる
というものがあります。
これからのものづくりは、スピード感が命なので、安いからといって遠くのサプライヤを探すよりも、少々割高でも近くのサプライヤを探すほうが、トータルとして見るとお得だったりします。
不良対応とかも、近所のサプライヤの方が対応しやすいですし。
製造系の展示会
広く当たりたい場合はこちらが無難かもしれません。
たとえば、
- ものづくりワールド
- 機械要素技術展
- インターモールド
なんかが挙げられます。
実際の事例で言うと、
【冷間鍛造部品】機械要素技術展(東京)に出展しました|新着情報| (seiko-co.com)
展示会ご来場の御礼 | 株式会社大宮日進 (ohmiyanissin.co.jp)
これらは、鍛造エリアがあったり、自動車部品エリアがあったりと、目当てになる鍛造メーカが見つかりやすい展示会となっています。
デメリットは、会場がむちゃくちゃ広い…という事ですかね。代わりに物凄く楽しいので、むしろプラスかもしれません。
主体的に鍛造メーカと出会うための方法2:会社ホームページを探す
未だにホームページを持っていない鍛造メーカもありますが、多くの会社は銀行との取引のためや、採用活動のためにホームページを準備しています。
ホームページを探して「お問い合わせ」フォームからコンタクトをとる事で、連絡先の交換が可能となります。
会社ホームページのメリットは、移動の手間が少なく、コスパが高いことです。
逆にデメリットは、情報量が少ない事や、ホームページに力を入れていない会社もある事です。
具体的な方法を2つ紹介します。
- 「地域名+鍛造」で検索する
- 鍛造メーカ一覧を見る
具体的に解説します。
「地域名+鍛造」で検索する
お近くの地域で鍛造メーカを検索するには、Google検索において、「地域名 鍛造」と検索するのがオススメです。
後述する鍛造協会に所属していないメーカも多くありますので、近所の「知る人ぞ知る」優良サプライヤを見つけるには、この方法がベストかと。
鍛造メーカ一覧を見る
日本鍛造協会という団体のHPに、鍛造メーカの一覧が載っています。
その中に、正会員-1.pdf (jfa-tanzo.jp)というPDFファイルがあるので、DLして確認してみてください。地域別に、どんな鍛造をやっているのか、が書いてあります。
合わせると130社あるみたいですね。必要な素形材を作れる鍛造メーカを探して、ホームページから連絡してみると良いかもしれません。
ぱっと一覧で見れるので、面倒くさがりな人はこちらから先に試すのもアリです。
主体的に鍛造メーカと出会うための方法3:既存の取引先からの紹介
現在の仕入先とのお付き合いが良好な場合、紹介という方法でサプライヤの輪を広げることができます。
- メリットは、紹介元の信用が担保される
- デメリットは、紹介元の企業との良好な関係作りが必要
という事です。
最近は下請法の取り締まりも厳しいですし、デメリットは少なくなってきたともいえるでしょう。
STEP2:連絡を取る
「ここだ!」というサプライヤの候補がいくつか見つかったら、それぞれ連絡を取ってみましょう。
名刺など、直接の連絡先を持っている場合
名刺を持っている場合は、メールで確認するのがオススメ。
理由は、営業担当者は外出している事が多いので、電話だと中々連絡がつかない場合があるためです。
1~2日待っても返信が来ない場合には、電話で確認すると良いかもしれません。
直接の連絡先を知らない場合
直接の連絡先を知らない場合は、会社ホームページのお問い合わせフォームから連絡することで、こちらの連絡先を相手に伝えることができます。
いきなり電話をすると、こちらのメールアドレスを口頭で伝えるのが難しいので、お問い合わせフォームがオススメ。
ただし、ホームページに記載されているメールアドレスは迷惑メールも多く、開封率が低い会社もあります。
その場合は、翌営業日を目安に電話をして、メールアドレス宛に返信してもらうのが良いでしょう。
STEP3:素形材の実現可能性分析
連絡が付いたら、製品の図面や3Dモデルを見せて、実現可能性を分析してもらいましょう。
- 「こんな工程でこうやって作れるよ」とか
- これは別の工法の方が良いんじゃないかなとか
- こうやって図面を変えると安く作れるよとか
そんな事を教えて貰えると思います。
いきなり図面を渡すのは怖い…等があれば、一度Web会議や工場見学等を依頼するのも良いでしょう。
鍛造メーカはアナログが好きな人も多いので、工場見学は喜んで対応してくれます。
STEP4:見積依頼
工法に納得がいったら、設計が決まった図面をもとに、見積もりを依頼しましょう。
会社によって得意な工法や工程の内容が異なるので、2~3社相見積もりを取るのがオススメです。
注意点として、飛びぬけて安い見積もりが出てきた場合、検査等において希望と異なる工程の内容になっている事があります。
どんな工程を通るのかを質問すると、後で揉める事が減ります。
STEP5:価格交渉
標準条件での見積もりが済んだら、次は価格交渉です。
鍛造メーカによって安く作る条件が異なるので
- 工程の省略
- 公差の緩和
- 発注ロットの調整
- MOQ(最低発注数量)の調整
- 納期の調整
等によって、交渉を行います。
特に、JITに慣れている加工メーカでは、ロットは小さく、納期は短く、が正義だと認識していると思います。
一方で、鍛造メーカは、材料の購入単位が決まっているので、その材料が汎用的でなければ小ロットで発注すると原価が上がります。
この点を考慮して単価を交渉することで、相談ができると思います。
見積もりまでが済んだら、後は通常と同じです。
STEP6:試作
試作用金型を起こして、試作を行います。
基本は数個~100個とかの単位で、後工程のテスト用に試作を行います。
STEP7:量産トライ
試作でOKが出れば、工程能力や生産能力等の確認、後工程のロバスト性の確認のために、量産用の金型で製品をたくさん作ります。
STEP8:量産と初期流動管理
量産トライで工程の確認が出来たら、量産を進めます。
量産開始当初は試作段階で出てこなかったエラーが出てくる事もあるので、初期流動管理期間を設けて、エラーが小さいうちに対策をします。
発注側からは、資料の提出や会議での報告を求めることで、安定した製品作りを管理することができます。