ロータリー研摩とは【テーブルが回転する研削加工。速さが魅力です】
ロータリー研磨について勉強したい人向けの記事です。
ロータリー研磨は砥石を使うので、正式には「ロータリー研削」と言います。
しかし現場では研磨と研削を言葉上では使い分けないのが通例なので、仕上げ加工はまとめて「研磨」と呼ばれることが多いです。
本記事ではロータリー研磨の基本として
- ロータリー研磨とは
- ロータリー研磨の特徴
- ロータリー研磨の機械を作っている会社
を紹介します。
ロータリー研磨を一言でいうと、回転するテーブルを使った平面の研削加工です。
一般の研削加工ではテーブルは往復移動が基本ですが、テーブルが回転するので(Rotary)となります。
▼その他研削加工については、まとめページを作っています。
研削加工とは【硬いものでも品質よく削る、仕上げ加工のエース】
ロータリー研摩とは
ロータリー研摩とは、ロータリー研削盤を使用して行う研磨加工のことです。
英語では(rotary surface grinding)と言います。中国語では圆台平面磨削(圓臺平面磨削)と言います。
ロータリー研削盤は直線的な往復運動の平面研削盤に対して、ワークも砥石も回転しながら研磨加工をするので生産性が高いと言われています。
但し通常の平面研削に比べて面は粗くなります。
▼多分これは動画を見た方がわかりやすいので動画を貼っておきます。
▼普通の平面研削はこんな加工です。
加工する時はマグネット仕様の定盤の上にワークを載せて、回転しながら砥石で加工します。
小さいワークであれば複数のワークを並べて一気に加工できるので、量産品の研削工程の納期短縮や、品質安定が期待できます。
ロータリー研摩の特徴
ロータリー研摩の特徴として、こんなのがあります。
- 加工にかかる時間が平面研削に比べて短い
- 小さいワークならまとめて一気に加工できる
- 焼入れの有無にかかわらず研磨できる
- テーブルが回転して動くので、網目模様の仕上がりになる
- 磁石に付けばいいので治具が要らない
ロータリー研摩の機械
ロータリー研摩をする時は、「ロータリー研削盤」という機械を使います。
研磨(研削)加工は精度を作り上げるのが非常に難しいです。
加工に求める精度が非常に高いので、切削機を内製する会社はあっても研削盤を内製する会社は聞いたことがありません。
先日、自分たちの研究用に切削機やロボットを自作してしまうような技術力の高い会社の人に聞いてみたところ、やはり研削盤の自作は難しいと言っていました。
ロータリー研摩をする工程は、製造工程の中でも仕上がりに特にかかわる工程なので、機械に求める要求も高いです。
したがって、研削盤を購入する時は以下の事を考慮しつつ決めるのが良いといわれています。
- 精度が高いこと
- 壊れないこと
- 精度を維持し続ける事
- 会社がつぶれないこと
特に最後の部分が重要で、機械の劣化、故障、改良希望など、困ったときにメーカーが倒産していると、お手上げです。
したがって研削盤は特に、有名なメーカーや歴史のあるメーカーを選ぶ傾向があります。
ロータリー研磨の研削盤を扱っているメーカーでよく名前を聞いて有名なのが
- 岡本
- ナガセ
- 進興製作所
の3社です。
正式名称も含めて詳しく紹介します。
株式会社岡本工作機械製作所
正式名称は「株式会社岡本工作機械製作所」です。
「岡本の研削盤」と言えば通じます。私も大学で使いました。
- 本社:群馬県安中市郷原2993
- TEL:027-385-5800
- FAX:027-385-5880
- 創業:大正15年11月
- 生産品目:各種研削盤・半導体関連装置 など
- ホームページ:http://www.okamoto.co.jp
古くから研削盤を海外展開してきた会社です。
まだ他の会社が海外進出をあまりしていないころからシンガポール、タイに進出、タイでは一貫生産体制(鋳物生産、部品製造、組み立て)を築いてきました。
株式会社ナガセインテグレックス
正式名称は「株式会社ナガセインテグレックス」です。
私の前職の会社ではナガセの超大きな研削盤が置いてあって、工場の広い一角を占有していました。
噂では数億円だったとか?あんまり細かい話は聞いてないですが、それくらいの投資をしても良いと思わせるあたりに品質への信頼を感じました。
- 本社:岐阜県関市武芸川町跡部1333-1
- TEL:0575-46-2323
- FAX:0575-46-2325
- 創業:1950年3月
- 生産品目:各種の超精密研削盤、微細加工機、超精密測定システム など
- ホームページ:http://nagase-i.jp
1950年から70年以上、お客様と共に歩んでまいりましたという研削盤の老舗。
「人と人のご縁を大切にしながら」という考えを持っていて、社内には「モノづくりは出会いづくり」という考えが浸透しています。
会社の規模拡大というがつがつした感じではなく、自分たちを支えてくれる全ての人の幸せを目標にしていて、その結果ナガセに優れた技術者が集まりやすくなっているようです。
大学で研削を研究している人の行きたい就職先の大きな目標にも「ナガセ」が入っていて、ブランド力を感じますよね。
株式会社進興製作所
正式名称は「株式会社進興製作所」です。
JIMTOFなどの展示会でもよくこの名前を見かける気がします。
- 本社:東京都江東区大島1-34-10
- TEL:03-3683-7331
- 創業:1945年7月
- 生産品目:ロータリー研削盤、平面研削盤、マシニングセンタ など
- ホームページ:http://www.shinko-mfg-co.jp/
昭和21年から70年以上にわたって工作機械の開発製造に携わっており、非常に歴史が長いです。
高い技術力が売りで、ほとんどのお客様が他社からの紹介で購入に至るという、口コミがメインの会社です。
お客様の幅広いニーズに応えるために、70人の会社に54台の機械があります。
「ラップ研削盤に近い精度で加工できるロータリー研削盤」というのを売りにしています。
ロータリー研磨についてまとめ
ロータリー研磨(研削)は、複数のワークを一度に効率よく研削するための画期的な加工方法みたいな位置づけですね。
小型の部品を扱う会社では使用頻度が高そうだなという感想を持ちました。
当ブログでは筆者がものづくりについて勉強しながら知ったことを記事に順次反映していっています。
もしご意見、アドバイスなどありましたらお気軽に連絡をください。
将来の夢は、新入社員の教科書みたいなサイトを作る事です。
それでは明日もものづくり、頑張りましょう!