積層造形とは【いわゆる3Dプリンタ。ものづくりの未来を変えます】

WRITER
 
積層造形とは
この記事を書いている人 - WRITER -

積層造形、つまり3Dプリンタについて知りたい人向けの記事です。

国家プロジェクトで開発が進められたりして、一時期ものすごくホットな領域でした。
当時は樹脂でモデルを作るのが精一杯でしたが、今では金属からも作れるし、サンプル確認程度の用途だったものが今は製品にも使われたりと、ものづくりの形が大きく変わっています。

今後は積層造形+切削加工を組み合わせてものづくりの幅が広がっていく事も期待できるので、ますます目が離せない領域になりました。

 

本記事では

  • 積層造形の種類
  • 積層造形の特徴
  • 積層造形の手順
  • 積層造形の事例

等を中心にお話していきます。

 

私は今後もものづくりの中で生きて、日本のものづくりを後世に残すために生きていく覚悟を持っています。
一緒にものづくりについて話し合う仲間と繋がるためにTwitterを始めました。よかったらフォローお願いします。

Twitter:@Japan_MFG_Tomo

 

<筆者おすすめの参考書籍の紹介>

知らない内容を知るときは、「トコトンやさしいシリーズ」は結構おススメです。
歴史、特徴、役割や使い方までを勉強できます。発行が2014年と少し古いですが、内容は現在とほぼ変わらないので、十分読む価値があります。

Amazonで見る:トコトンやさしい 3Dプリンタの本
楽天で見る:トコトンやさしい3Dプリンタの本
Yahooショッピングで見る:トコトンやさしい 3Dプリンタの本

 

積層造形とは

積層造形は、金属を融かして固めて形状を作る技術です。
積層造形は英語ではAdditive manufacturing、中国語では積層造形を增材制造技术(增材製造技術)と言います。

 

切削加工の削り出しや鋳造ではコストが合わなかったり形状が難しい時に魅力を感じる新しい成型方法として注目を浴びていて、複雑な形状や強度の高い金属を使いたい際に利用されます。

 

造形では、製造の自由度があるので

  • 試作品
  • 特注品
  • 少量生産
  • 大量生産

どれでも対応ができます。

 

積層造形はAM(Additive manufacturing:付加加工)ともいわれていて、航空宇宙産業、自動車産業、医療分野など幅広く使われています。

3Dモデルから製品を造形する関係でIoTとも結びつきが良く、図面が不要な事からものづくりの方法を変えるかもしれないとして各国で研究が盛んになっています。

 

積層造形の種類

積層造形の種類は大きく分けて4つあります。

  • FDM(熱溶解積層)
  • 光造形(SLA、DLP)
  • インクジェット
  • 粉末焼結積層

それぞれについて少し深掘りします。

 

FDM(熱溶解積層)

2009年に関係特許が失効した事によって一気に人気になった3Dプリンタの技術です。

家電屋さんで販売されている3DプリンタはこのFDM方式というもので、とけた材料をペン先から出して重ねて、形状を作っていきます。

 

現在は2万円で買えるくらいに価格も下がってきたので、家庭用のものづくりのおもちゃとしても面白いです。

 

 

光造形(SLA、DLP)

光を当てると効果する材料を使って形状を作ります。

ラピッドプロトタイピング(Rapid prototyping:粘土造形で試作するよりも高精度な、製品開発段階での試作。)で実際の形状を見ながら評価するのに用いられます。

 

数時間~数日で、精度が比較的に良い試作品を作れるので、造形速度が一つの魅力です。

 

 

インクジェット

紙に印刷するインクジェットのプリンタと同じような方式で材料を積層する造形方法です。

現在主流になっている方法が、光で硬化する樹脂を使ったもので、樹脂をインク状にして吹き付けて、光を当てて固める技術を採用しています。

 

 

粉末焼結積層

粉末状の樹脂や金属を焼結することで立体形状を作る積層造形方法です。

耐久性のある造形物を製作できるので、最終製品や鋳型の製造として、金属の3Dプリンタ技術でよく使われる手法です。

 

積層造形の特徴

積層造形の特徴は以下のようなものがあります。

 

積層造形の特徴

  • 3Dの複雑な形状をそのまま形にできる
  • 格子状の構造体を作れる
  • 素材の層を変えて製造できる
  • 図面が要らない

 

少し深掘りします。

 

3Dの複雑な形状をそのまま形にできる

 

積層造形では、切削加工の削り出しや鋳造ではコストが高かったり加工ができなくて避けていた3D的な形状をそのまま形にすることができます。

 

工業製品=角張っててシンプル

 

というイメージを変えて、もっとお洒落な形状が増える期待ができます。

 

格子状の構造体を作れる

 

切削や鋳造では「内部をスカスカにする(言い方悪いですが)」事は不可能でしたが、3Dプリンタは内部を密にするのか、ジャングルジムみたいにするのかを設計者が選べます。

 

積層造形では、「十分な強度を持っているが軽い」みたいなニーズを満たせるようになります。つまり航空分野や空飛ぶ車のメインで活用される期待ができます。

 

素材の層を変えて製造できる

 

積層造形では、表面は材料A、内部は材料Bみたいな製造方法が可能です。

例えば「硬くて粘り強い」とか「軽いけど芯がしっかりしている」とか、相反する二つの性能を同時に満たす製品を作れるようになります。

 

 

図面が要らない

 

これからのものづくりを大きく変えそうなのが、「図面が要らない」という時代の変化です。

3Dモデルを作る事ができればいいので、2次元図面から加工方法を選んで、、、という製造方法も必要ないし、現在重用されている「2次元寸法を基本にした3次元モデルを作る3DCAD」も役割を終えるかもしれません。

 

たとえば今までのものづくりではデザイナーがデザインを考えて、設計者が図面に落とし込んで、加工して作るのが一般的な流れだったので、「コストが合わないし加工が現実的じゃない」という喧嘩も生まれなくなるでしょう。

 

デザイナーの思想がそのまま形になるので、今後はデザインが大きく変わる事が期待できます。

そして従来花形だった「設計者」も本当に実力のある人以外は別の仕事をすることになるかもしれません。

 

積層造形の手順

一例ですが、積層造形の流れを紹介します。

積層造形の手順
  1. 3次元モデルを作る
  2. モデルを輪切りのデータに変換
  3. 1層1層積み上げながら形状を作る
  4. 3Dモデルを実際の形状にできた

 

現在はモデル作成ソフトがどんどん簡単化してきたおかげで、モデルを作るのが3DCADに限定されなくなりました。

製造業の設計部署以外でも直感的にモデルを作って遊べるので、今後のものづくりはもっと面白くなります。

 

積層造形の事例

 

積層造形が実際に使われている例を紹介します。

  • 歯医者での活用事例
  • 運動分野での活用事例
  • 製造業での活用事例

 

歯医者での活用事例

 

歯医者では「まさにこういう使い方が向いてるよね」という積層造形(3Dプリンタ)の活用事例があります。

参考記事:ALTECH(https://www.3d-printer.jp/case/stratasys/casestudies-kanao-dentalclinic.html

 

この記事では、3Dプリンタで歯形を造形→マウスピースを作成しています。

歯医者の矯正工程は、皆さんの裏舞台での苦労によって支えられています。

 

3Dプリンタの活用事例として、
治療で歯形を取って、歯のモデルを樹脂で作って、矯正のモデルを作って、最後に微調整で削る

みたいな流れで一つのマウスピースを作る工程を紹介いています。

この工程で、3Dプリンタを活用すると人での作業が一部省略できるので、より患者さんに寄り添った歯科治療ができます。

 

また、データをやり取りすれば実質誰でもマウスピースを出力できるので、将来的には「引っ越しても同じ先生にマウスピースを作ってもらいたい」というニーズを満たせるかもしれません。

 

運動分野での活用事例

 

参考記事:3DP id.arts(https://idarts.co.jp/3dp/under-armour-3d-print-sneakers-ray-lewis/

 

アンダーアーマーが3Dプリントでスニーカーを作り、発売しました。

ソール部分と書いてあるのですべてが3Dプリントではないはずですが、「より軽く、よりクッション性を持たせた」ソールを作れるようになるので、もっと広まれば選手それぞれに合わせた材料で靴を作れるようになります。

けがで悩む選手が減るかもしれませんね。

 

参考記事:MONOist(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2011/24/news022.html

 

ゴルフのクラブも3Dプリントで作られる時代が来ました。

開発期間を短縮したり、性能を高めたり、積層造形技術にはかなり期待されています。

 

ゴルフクラブは形状によって性能が決まるところもあるので、形状に自由度が出る積層造形とはかなり相性が良さそうですよね。

 

製造業での活用事例

 

コンセプトカーがそのまま積層造形でできています。

動画の例だと車のボディだけだと思いますが、例えば走る部分は共通、ボディだけは自分でデザインできる車とか販売されたら所有欲をくすぐられますよね。

 

その他の例だと、金型を使って大量生産する製品の見本として3Dプリントしたものを確認するなんて事もしています。

ブリスターと呼ばれる、プラスチックみたいな材料で作られた容器やスマホのカバー、模型も3Dプリンタの得意分野です。

 

 

積層造形について、未来のものづくりを考えよう

 

今回は積層造形(3Dプリンタ)について学びましたが、ものづくりの流れが大きく変わりそうな予感がしますよね。

  • 製造業では、より軽く、頑丈な製品が作れるし
  • 医療業界では、歯形や関節などに活用できるし
  • スポーツでも「オンリーワン」に拘ったものが作れるし

 

ものづくり業界だけにとらわれず、様々な分野が積層造形の技術で大きく変わる可能性を秘めています。

  • デザイナーの仕事も変わるし
  • 設計士の仕事も変わるし
  • 医者、歯医者の仕事も変わるし
  • スポーツ選手の活躍の仕方も変わるし
  • 材料メーカーの仕事も変わるし
  • 製造工場の仕事も変わるし

 

とにかく何でも変わる可能性を秘めています。

そして、3Dモデルだけでものを作れるので、データだけで商売が完了する中間業者も増えそうだなあと思っています。
実際に中国では、3Dモデルを送ると印刷して送ってくれるサービスがタオバオなどのECサイトで実際に運用されています。

 

今までなかった会社の形が、3Dプリンタをきっかけに生まれています。

 

当ブログでは筆者がものづくりについて勉強しながら知ったことを記事に順次反映していっています。
もしご意見、アドバイスなどありましたらお気軽に連絡をください。

将来の夢は、新入社員の教科書みたいなサイトを作る事です。
それでは明日もものづくり、頑張りましょう!

この記事を書いている人 - WRITER -

Twitter始めました

記事の更新情報、製造業の気になる事などをツイートしています。

よかったらフォローお願いします。

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© ものづくり王国にっぽん , 2021 All Rights Reserved.