【超基本】フライス加工とは【技術者に必要な8つの知識を一気に紹介】

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フライス加工とは
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フライス加工の基礎について知りたい人向けの記事です。
会社の新入社員や、製造業に興味を持ってくれた学生の方に向けて書いています。

 

機械加工について調べると、「旋盤」「フライス盤」「マシニング」といった単語から、似た単語で「旋削加工」「フライス加工」みたいな単語も出てきますよね。

筆者の私も当時大パニックでした(確か大学2年生の時だったと思います)

 

今回は、角もの(角張った工作物)を切削するための加工方法、「フライス加工」について詳しく解説します。

▼旋削加工についてはこちらの記事で紹介しています。

本記事でわかる事
  • フライス加工の定義
  • フライス加工と旋盤加工の違い
  • フライス加工でできる事
  • フライス加工の種類
  • フライス加工に使う加工機
  • フライス加工で使用する工具
  • フライスカッタとエンドミルの違い
  • フライス加工に大切な知識

 

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フライス加工とは

フライス加工とは

フライス加工とは、「フライス」という工具を用いてワークを削る事を言います。(フライスはドイツ語由来なので、英語の場合は”milling”と言います。ちなみに中国語ではフライス加工を銑加工と言います。)
フライス加工は切削加工の代表的な加工法の一つです。

 

工具が回転して、固定したワークを削るというのが、旋盤加工との違いです。

 

XY平面とZ方向を自由に移動させながら加工できるので、工具を付け替えながらいろんなものが加工できます。

「角もの」と言われるブロック形状の物(円筒形状じゃないもの)は大体フライスだけで形を作る事ができます。

 

 

現在はCNC(Computerized Numerical Control)フライス盤が広く普及しているので、プログラムを組んで自動で加工する事もできます。

 

 

フライス加工でできる事、フライス加工の種類

フライス加工はXYZ3次元で加工ができるので、非常に自由度が高いです。

フライス加工でできることは

  • 外形加工
  • 側面加工
  • 溝加工
  • 曲面加工
  • スリット加工

があります。
(ほかにもフライス盤を使って穴あけもできますが、穴あけは「フライス加工」の分類ではないので、一応外しておきます。)

 

 

平面削り(材料の外側を削る加工)

 

平面のフライス加工では、ワークを平面に削ります。

  • 正面フライス
  • エンドミル
  • 平フライス

の3種類を紹介します。

 

正面フライス

 

立型フライス盤に正面フライス(フェイスミル)を取り付けて平面を削る加工です。
切削の効率が良く、精度が良いので平面加工ではこの方法がよく使われます。

 

エンドミル加工

 

正面フライスを使用するほど大きくない(面積が小さい)時はエンドミルを使用することもあります。
平面削りの次に段加工や溝加工をする時は工具交換の時間を短縮できるのが利点ですが、切削面積が狭いので平面削りに時間がかかるのが欠点です。

 

工具交換と切削時間の時間を考慮して、工具を決定します。

 

平フライス加工

 

横型フライス盤に平フライスという工具を取り付けて平面を削ります。
横型フライス盤は重力で工具がたわむので、同じ面を加工する時は立型フライス盤よりも平面度が劣ります。

 

ただし切削効率がすぐれているので、粗削りなど、精度を求めない加工に向いています。

 

側面削り(材料の側面を削る加工)

 

やっていることは平面加工と同じですが、ワークの側面を削るので、名前が分かれています。(実際はどっちもフライス加工って言われている気がします)

側面フライス加工では、工具の側面を使ってワークに段を付けたりワークの四隅にR形状を付けたりできます。

 

側面削りの種類として、

  • 正面フライス
  • エンドミル
  • 側フライス

の3つを紹介します。

 

正面フライス

 

横型フライス盤に正面フライス(フェイスミル)を取り付けて、側面を横から正面削りします。
横型フライス盤では一般的な方法です。

 

エンドミル

 

立型フライス盤での一般的な側面削りの方法が、エンドミル加工です。

エンドミルの外周についている刃を使って側面を削ります。

 

側フライス

 

横型フライス盤に再度カッターというフライス工具を取り付けて、正面削りで加工します。

 

 

溝加工(材料に溝を作る加工)

 

ワークに溝をつける加工です。

  • キー溝
  • T溝
  • アリ溝
  • ポケット

といった種類の溝がありますが、各溝をフライス工具やエンドミルで加工します。

 

キー溝加工

 

軸をはめ合わせて回転を伝えるときに、両軸が滑らないようにする物理的な引っ掛かり(キー)を入れるための溝です。
エンドミルを使って加工します。

 

T溝加工

 

溝の底面が広くなっているT型の溝です。
工作機械のテーブル面にあるTスロットという可動式のネジ穴のレールです。T溝フライスで加工します。

 

アリ溝加工

 

台形の形をした溝です。

物体が二つ組み合わさって、一方向に摺動する時に使う溝です。
身近なものだと測定につかうXYステージの、摺動する部分にアリ溝があります。アリ溝フライスで加工します。

 

ポケット加工

 

ワークの平面にある、ひょうたん池みたいなくぼみです。エンドミルで加工します。

 

 

曲面加工(工具の動きで曲面を演出)

 

エンドミルを使って加工します。
フライス加工では段差の角などに曲面を作れますが、もっと複雑な形状の場合はテーブルに角度が付けられる5軸のマシニングセンタを使います。

 

 

スリット加工(細い溝)

 

スリット加工では、手裏剣みたいな薄い工具を使って細い溝を掘ります。
木材をのこぎりで途中まで切るみたいなイメージです。

スリットの目的は、制振、消音効果やサイズの収縮用などがあります。

 

フライス加工用の加工機

フライス加工用の加工機は4つあります

  • 立型フライス盤
  • 横型フライス盤
  • NCフライス盤
  • マシニングセンタ

それぞれの特徴を解説します。

 

立型フライス盤

 

汎用フライス盤の一つで、職人さんが手でハンドルを動かして加工するフライス盤です。

主軸が垂直にあるので「立型フライス盤」です。

 

重力でワークが変形しないので、重いものを加工するのに向いています。

主軸が上下(Z軸)に動き、テーブルが前後左右(XY軸)に動くことで3次元の加工を実現しています。

 

 

最も基本的な性能なので作業者の訓練向きではありますが、すべての作業を人の手で行うため作業者の技量によって品質が変わります。

 

したがって量産には向きませんが、逆に一品物を加工する時に臨機応変に対応できるので、試作品やオーダーメイドの時には活用されます。

 

 

横型フライス盤

 

立型フライス盤と同じように汎用フライス盤の一つで、職人さんがハンドルを動かして加工するフライス盤ですが、主軸が横向きについているので「横型フライス盤」と呼びます。

 

切り屑が重力で自動的に落下して、処理しやすいのが特徴なので、立型では難しい加工(深穴加工)などに向いています。

 

 

NCフライス盤

 

NCフライス盤は数値制御(Numerical Control)ができるフライス盤です。

実際はCNC(コンピューターを使ったNC)装置が付いているフライス盤ばかりですが、現場ではだいたいNCって呼びます。

 

プログラムを組んで自動で動かせるので、職人さんの負荷を減らせるようになりました。

 

手動でも動かせるので、重切削など、音や振動を頼りにしながら送りを進めたい時は手動で削るみたいな柔軟性があります。

 

 

マシニングセンタ

 

自動工具交換機能(ATC)が付いたフライス盤です。

加工のすべてが集約したから「マシニングセンタ」なのかなと思っています。

 

マシニングセンタは製品の量産加工ラインでよく働いています。

工具を変えながら自動で加工して、作業者はワークの出し入れだけで済むようになりました。

結果として人の差による品質の差が無くなったので、公差の厳しい加工も量産できるようになりました。

 

 

また、最近では従来のXYZ軸に加えてテーブルの傾斜とワークの回転が追加された5軸加工機も登場して、旋盤とフライス盤の機能が一つにまとまりました。

 

このおかげでマシニングセンタで歯車を削ったり、従来旋盤とフライス盤の2工程で加工していたものを1工程に減らしたり、勢いよく技術革新が起きました。

 

 

フライス加工で使用する工具まとめ

フライス加工の種類の項で紹介した工具を、一覧にしてまとめます。

 

フライス加工で使用する工具は用途に合わせて非常に多くの種類があって説明しきれないので、どこに行っても絶対見る基本的なフライス工具を紹介します。

 

フライス加工で使用する工具まとめ
  • エンドミル
  • 正面フライス
  • 平フライス(ひらふらいす)
  • 側フライス(がわふらいす)
  • スリワリフライス
  • 溝フライス

 

 

エンドミル

 

ドリルに似た形の工具ですが、ドリルと違って外周(側面)にも切れ刃があります。

非常に使用頻度の高い、代表的なフライス工具です。

 

 

正面フライス

 

「フェイスミルカッター」とも呼ばれます。

円周上に多数の切れ刃を持ったフライス工具です。

 

切れ刃は「スローアウェイチップ」または単に「チップ」式になっていることが多く、加工して刃先が摩耗したら交換できるようになっています。

 

ワークの平面を効率よく加工するための工具です。

 

 

平フライス(ひらふらいす)

 

工具の外周に切れ刃を持ったフライス工具です。

横型フライス盤を使って平面削りをする時に使用します。

 

ただし加工精度が高くないので、荒仕上~中仕上げくらいに向いています。

 

 

側フライス(がわふらいす)

 

「そく」フライスではなく「がわ」フライスです。読みづらいですよね。

 

外周に切れ刃を持ったフライス工具です。

横型フライス盤での側面加工や溝加工で使われます。

 

 

スリワリフライス

 

スリットを加工する時に使う薄いのこぎりみたいな円盤です。

切り込みやワークの切断に使います。

 

 

溝フライス

 

T溝加工用のT溝フライス、アリ溝加工用のアリ溝フライスがあります。

どちらも外周に切れ刃を持ったフライス工具です。

 

T溝はTスロットを通すための溝、アリ溝は摺動部のかみ合わせに使われます。

 

 

フライスカッタとエンドミルの違い

エンドミルは工具の先端と外周に切れ刃を持った「フライス工具の1種類」です。

 

見た目はドリルとも似ています。
ドリルは外周に切れ刃が無いのに対し、エンドミルには切れ刃があります。

 

したがって加工の幅が広くて様々なフライス加工がエンドミル1本で加工できるため、万能な工具として重宝されています。

 

 

エンドミルの種類

 

エンドミルには3つの種類があります

 

  • スローアウェイエンドミル
  • ソリッドエンドミル
  • ロウ付けエンドミル

 

 

切れ刃の部分の仕組みによって種類を分けられています。

詳しく見てみましょう。

 

スローアウェイエンドミル

 

チップをスローアウェイできるエンドミルです。

切れ刃の部分がチップ式になっていて、摩耗したら交換できる仕組みになっています。

 

工具をホルダから外して付け替えて、取り付け方の精度を確認して戻して、、、みたいな作業が不要なので、マシニングセンタの量産加工ラインで使われます。

 

また、チップの種類(温度に強いとか、削ったワークがとけてくっつかない工夫がされているとか)を変えるだけで工具の性格を変えられるので、シャンク(チップを取り付ける部分)を何本も買いためなくていいのも特徴です。

 

ソリッドエンドミル

 

工具に使う金属をそのまま削り出して作ったエンドミルです。

ハイス(高速度工具鋼)や超硬合金から作られます。

 

工具が摩耗したら勿体ない、、、みたいな気もしますが、摩耗したら切れ刃を再研磨して使えます。

 

ロウ付けエンドミル

 

軸芯に切れ刃をロウ付けしたエンドミルです。

ソリッドタイプだと軸芯部分がもったいないので、切れ刃部分だけ工具用の金属を使っています。

 

ソリッドタイプよりもコストが安くなるので、大きなエンドミルだとロウ付けでコストを下げられます。

 

フライス加工で大切な知識

フライス加工をするうえで大切な知識をいくつか紹介します

 

フライス加工に大切な知識
  • フライス加工のツーリング
  • フライス工具の材質
  • フライス工具の回転方向と切削負荷

 

フライス加工のツーリングについて

 

フライス加工のツーリングとは、ホルダと工具から成り立ちます。

 

フライス盤またはマシニングセンタの主軸に工具を取り付けますが、主軸と工具のシャンク(柄の部分)の形が大きく違います。

したがって、工具のシャンクを機械の主軸が持てる形状に変換させる必要があります。

 

ホルダはいわば変換機、アダプタみたいなもんですね。

 

工具交換をする時に、どの工具をどの順番で使うのか、そしてATCの時間を減らすために工具マガジンのどこに工具を入れるのか、そんな事も考えながら工程を設計します。

 

フライス工具の材質について

 

フライス加工に使う工具の材質は、被削材(ワーク)の材質によって相性考えたり、加工のスピードを考えたりして、最適なバランスを選びます。

 

工具の種類には

  • 高速度工具鋼(ハイス)
  • 超硬合金
  • サーメット

などがよく使われます。

見た目が似ているのでケースに保管して表示するなどすると分かりやすいですが、もし分からなくなった場合は

 

磁石に強力にくっつく→ハイス

磁石に弱めにくっつく、さらに思い→超硬

磁石に弱めにくっつく、そして軽い→サーメット

 

みたいな感じで見分けられます。

 

それぞれの使い方について、簡単に解説します。

 

フライス加工で高速度工具鋼(ハイス)を選ぶ場面

 

ハイスピードで加工できるので、「ハイス」です。

耐熱性が比較的高いのが特徴です。

 

刃先の温度が600℃以下になるように加工条件を調整します。

切削条件は大体30m/minくらいが最大です。

 

フライス加工で超硬合金を選ぶ場面

 

ハイスに比べて加工精度が高いのが特徴で、航空機部品などの難削材や金型加工に使われます。

 

しかしハイスよりも振動に弱くかけやすい(つまり硬すぎて脆い)ので、汎用的な切削では使いません。

 

フライス加工でサーメットを選ぶ場面

 

サーメットは超硬合金の中まで、セラミックス(Ceramics)と金属(Metal)をくっつけてサーメットです。

 

超硬合金よりもさらに硬く、ハイスに比べて刃先が欠けやすいので、負荷をかけた切削には向きません。

 

しかし鉄との親和性が低いので刃先に切粉が付きづらく、面をきれいに仕上げることが期待できます。

 

フライス工具の回転方向と切削負荷について

 

フライス加工で少し詳しくなると、アップカットとダウンカットについての議論が出てきます。

基本はダウンカットで削りますが、まずはそれぞれの内容を確認します。

 

アップカット(上向き削り)

 

入り際の負荷が小さく、抜け際の負荷が大きくなる削り方です。

 

切削抵抗が大きく振動が発生しやすい

工具の寿命が短くなる

 

というデメリットがありますが、仕上げ面が綺麗になるという利点があるといわれています。

 

ダウンカット(下向き削り)

 

入り際の負荷が大きく、抜け際の負荷が小さくなる削り方です。

 

切削抵抗が小さく振動が発生しにくい

工具の寿命が長くなる

 

というメリットがありますが、仕上げ面が綺麗じゃないというデメリットがあるといわれています。

 

工具の寿命が延びて量産に向くので、一般的にはダウンカットが使われます。

 

「フライス加工とは」まとめ

本記事ではフライス加工の基礎について簡単に解説しました。
自動車部品の加工ラインでは、穴あけ加工などでよく使います。座標指定できて便利なんですよね。

 

当ブログでは筆者がものづくりについて勉強しながら知ったことを記事に順次反映していっています。
もしご意見、アドバイスなどありましたらお気軽に連絡をください。

将来の夢は、新入社員の教科書みたいなサイトを作る事です。
それでは明日もものづくり、頑張りましょう!

 

 

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