焼きなましとは【金属を柔らかくして加工しやすくする熱処理】

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焼きなましとは
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熱処理について勉強している人向けの記事です。
やきなましって何だっけ?焼きならしとの違いって何だっけ?と思っている方にピッタリです。

 

熱処理って難しいですよね。
大学で勉強しても実物を見る機械が無いので理解できないし、金属組織を見たところでこれが金属なのか細菌なのかもよくわからないし、技術者を何年やっても難しい分野です。

 

▼さらに熱処理の専門家と話していたら、こんなことを言われました。

  • まだ理論として確立されていない物がたくさんある
  • 炉は生き物と同じで突然何かが変わる

だから技術の伝承が難しい

 

熱処理は「絶対に壊れちゃいけないところ」に適用されることが多く、熱処理の品質不具合がそのまま人の命にも関わる重大な不具合になります。(自動車の軸の焼き入れなど)

そして見た目で判別ができない(例えば金属組織は顕微鏡じゃないと見れない)物が多いので、非常に神経を使うし緊張するし、難しい技術です。

 

 

そんな難しい熱処理ですが、理論的に分類と目的を理解するだけなら全然難しくないです。
なので今回は、熱処理の中の「焼きなまし」について解説します。

 

▼熱処理の基礎については、こちらの記事で広く紹介しています。
熱処理の基礎について

 

 

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<筆者おすすめの参考書籍の紹介>

熱処理関係については、私はこの本を自信をもってお勧めします。
過去に大手自動車関連メーカーの熱処理の工程監査を本書で勉強した内容を元にすべて乗り切った実績があるので、基礎はこの本だけで十分です。

その後実践での勉強を通して知識を深めていけば、熱処理に関して少し理解してる状態になれます。

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焼きなましとは

焼きなましとは、鋼材を加工しやすくするための熱処理です。別名では「焼鈍:しょうどん」とも呼ばれます。

焼きなましは英語ではAnnealingと言い、中国語で焼きなましを退火と言います。

 

▼焼きなましにはこんな目的と効果があります。

  • カチカチな鋼材を柔らかくする
  • 鋼材の結晶をきれいに並べる
  • 内部にある応力を除去する

 

鋼材は「パーライト」という組織になります。

パーライトとは

フェライトとセメンタイトが交互に並んだ層状の組織

一見パールのような色合いに見えるので、パーライトと言われます。(名前を聞いて反応できれば十分です、必要になったら勉強すればOK)

 

焼きなましの目的

 

焼きなましは主に切削、鍛造、プレスの前に行う処理で、鋼材を柔らかくして、鋼材の組織を均一化させるために行います。

 

組織とは、金属結晶の構造で、「体心立方格子」とか「面心立方格子」とか習った、あれです。

▼覚えてない人はわかりやい動画があるのでどうぞ

 

 

金属の原子は綺麗な立方体が一番安定しますが、その形がゆがんだり切れたりしていると、「いつか綺麗な立方体に戻るぞ」という潜在的な力が発生します。(これを残留応力と言います)

 

残留応力は寸法の変化、製品の変形、強度の不均一を招くので、製品の品質にムラができます。

しかし熱を加えて先に形を整えておけば、それ以上残留応力で変形することは無くなるので、加工の前処理として行います。(応力除去焼きなまし)

 

 

焼きなましの種類

焼きなましには、目的によって4つに分類されます

  1. 完全焼きなまし
  2. 球状化焼きなまし
  3. 応力除去焼きなまし
  4. 拡散焼きなまし

 

基本的にやる事は「あっためて、ゆっくり冷やす」事で鋼を柔らかくする事ですが、目的別に少しだけ作業が異なります。

 

詳しく解説します。

 

完全焼きなまし

 

完全焼きなましはもっとも一般的な焼きなまし法で、「焼きなまし」と言えば完全焼きなましを表します。JISではHAFと表します。
オーステナイトに変態する温度まで温めて(真っ赤になる温度、700度以上)ゆっくりと炉の中で冷却します。

 

球状化焼きなまし

 

焼きなましの冷却の方法によっては鋼材の金属構造が針状になったり網状になったり層状になったりして、鋼材としての性質が変わります。
この構造を球状にすると粘り強くなるので、重要保安部品(命に関わるようなコアの部品)には球状化焼きなましをします。JISではHASと書きます。

 

応力除去焼きなまし

 

応力除去焼きなましは、加工、鋳造、溶接などで発生した残留応力(原型をとどめておくのが難しくて、元に戻ろうとする力)を取り除くために行う処理です。
私たち人間も、普段は無理な体勢だと思っても温めたら身体の可動域が広がって状態が安定することがありますよね、あんな感じだと思っておけばいいです。

 

残留応力は「何もしていないのに」割れたり、曲がったりする怪奇現象を起こします。

例えばガラスに残留応力があると、突然割れたりします。

 

これらを防ぐために行うのが応力除去焼きなましです。JISではHARと書きます。

 

拡散焼きなまし

 

鋳造部品では、合金成分が偏ってしまうことがあります。(ミルクココアを作ろうとして場所によって濃さが変わるみたいなイメージです)

それを均一化するために行う焼きなましを「拡散焼きなまし」と言います。JISではHADと表します。

 

焼きなましと焼きならしの違い

焼きなましと凄く似た名前の熱処理に、「焼きならし」があります。(別名「焼準:しょうじゅん」ともいわれます)

焼き慣らしは英語で「Normalizing」といって、鋼材をノーマルな状態にします。

 

違いは冷却の方法です。

焼きなましと焼きならしの冷却方法違い
  • 焼きなまし:炉内でゆっくり冷却
  • 焼きならし:大気中で冷却

▼目的の違いは以下のようになっています。

焼きなましと焼きならしの目的の違い
  • 焼きなましの目的:材料を柔らかくする
  • 焼きならしの目的:組織を細かく、均一にする

方法も名前も目的も全部似ていますが、焼きなましは「柔らかくしたい」から炉冷でゆっくりと、焼きならしは「組織を均一にしたい」からあっためてそれなりにゆっくり冷やすイメージなのかなと理解しています。

 

当ブログでは筆者がものづくりについて勉強しながら知ったことを記事に順次反映していっています。
もしご意見、アドバイスなどありましたらお気軽に連絡をください。

将来の夢は、新入社員の教科書みたいなサイトを作る事です。
それでは明日もものづくり、頑張りましょう!

 

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