生産管理の内容を通訳して現地人に教えたので、内容をまとめました

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こんにちは、トモ(@Japan_MFG_Tomo)です。

今回は生産管理について、私が仕事をしながら学んだことを紹介します。

 

「生産管理」と一言で言っても仕事の内容は広く

  • 現場の品質についての管理生
  • 産個数についての管理
  • 稼働時間や非加工時間の分析

など多岐にわたります。

生産管理はQCDに関わる仕事なので守備範囲が広いです。
理由は仕入れから出荷までトータルで見て初めて最適解が出せるから。

 

 

生産管理部門では、

  • 予想需要数から生産計画の作成
  • 受注数から生産日数と仕入れ数を確定
  • 在庫数を管理
  • 一日の生産数をスケジュール
  • 進捗の管理

などなどがあります。

 

私は生産管理の専門家ではなく、通訳をしながら生産管理に触れたので、ちょっと偏った知識になっていますが、話せることは以下の事があります。

  • 生産個数の管理
  • 稼働率と設備総合効率(OEE)
  • ネック工程の発見と改善策の考え方

ひとまずは入り口の世界だけ、これから生産管理に携わる人にお見せできればと思います。

 

Twitter:(@Japan_MFG_Tomo

 

実際に客先から生産管理の状況を報告してほしいと頼まれたので、その時の報告内容を記事にまとめました。

関連記事:客先から「初期流動管理」が必要と言われた。何を管理したらいいの?

 

その時に開発した報告資料作成用のツールを標準化してnoteで公開しています。

【報告資料はこれでバッチリ】生産管理ツールの紹介

 

それでは行きましょう。

 

生産個数の管理

大量生産の世界(例えば自動車の部品工場)などでは、製品の品質のほかに、納期通りに生産数が間に合う事も大切です。

 

何となく成り行きで製品を多めに作っておいて、納期が来たらその中から出荷する方法もありますが、トヨタ生産方式における「7つの無駄の一つ、作り過ぎの無駄」に当たる無駄を引き起こします。

 

そのためにJIT(Just in Time:必要なものを必要なだけ作る)という考え方があります。

 

生産個数の管理の手順としては、例えば以下の方法があります。

  • 生産能力の概算
  • 実際の生産数の把握
  • 現場へのフィードバック
  • 生産スケジュール作成

 

生産能力の概算

 

生産管理の出発点は、生産能力の概算です。
ここで計算を失敗して能力を高く見積もり過ぎると現場の生産数が間に合わない問題が発生します。

必要な情報
  • 一日の生産時間
  • 機械のサイクルタイム
  • 不良品率
  • 稼働率(人の作業によるロスタイム係数)

 

計算式

生産数概算=(一日の生産時間*3600/サイクルタイム)*不良品率*稼働率

たとえば、

  • 1日20時間生産
  • サイクルタイム60秒
  • 不良品率3%
  • 稼働率90%

のラインがあるとしましょう。

生産数概算=(20*3600/60)*0.97*0.90=1047.6個

となります。

 

この数字はコスト見積もりにも使えるので、覚えておくと便利かもしれません。

 

実際の生産数の把握

 

実際に量産トライや正式量産の段階では、見積りと比べて生産数が多いのか少ないのかを確認します。
数が多ければ一旦置いといて、数が少ない場合は客先に迷惑をかける事になるので急いで対策をします。

 

ここで使うのが「稼働率」や「設備総合効率(OEE)」という考え方です。

会社によって計算式が違いますが、JISでは下のWikiに載っている方法が定められています。
(参考:Wikipedia「設備総合効率」

 

もっと簡単に生産数を把握する方法として、「毎日の生産数を平均して目標と比べる」という方法があります。

稼働率や設備総合効率は他の製品の生産ラインとの比較として使えますが、抽象化し過ぎてわかりづらい弱点があります。(逆にKPIを立てるのには都合がいい)

 

まさにその製品がいくつ生産できているのかを確認するには、平均だけで十分です。

 

一日当たりの生産数の概算

公式は
生産個数/生産日数
これで1日当たりの生産数が確認できます。

ちなみに1時間当たりの生産数にしたければ生産日数の部分を生産時間に変えればいいので、好きな単位で持っておくと良いです。

 

後はそれが目標と比べて多いのか少ないのかを確認すればOKです。

 

現場へのフィードバック

 

立ち上げたラインが予定通りに動いていれば生産管理の仕事は忙しくないんですが、大体は予定通りに行きません。

 

となると、日々の確認の現場へのフィードバックを元に、改善が必要になります。
実際の改善は現場と設計が行うので、問題を打ち上げるためにまずは情報を正しく伝える事がスタートになります。

 

  • 予定の生産個数
  • 実際の生産個数
  • 欠品するタイミング

この辺りを伝えられれば、自立した現場ならそれだけで分析と改善をしてくれます。

 

もし期待通りに動いてもらえないなら

  • 非稼働時間の分析
  • 不良項目の分析

 

など細かい分析をして、「何をどうしたら生産数が上がるのか」を提示します。
生産管理の仕事は自分の手配した数通りに現場が動いて出荷が間に合うところまでが守備範囲になります。

 

 

生産スケジュール作成

 

  • 最初は概算した予想上での生産数からスケジュールの作成。
  • 実際にデータが集まったらその数値からスケジュールの作成。

 

スケジュールをとにかく頻繁に組みなおすのが生産管理あるあるです。

ここを自動化ないし半自動化できると仕事が相当楽になるので改善ポイント。
生産管理部にはエクセルが得意な人が多いのは、そんな事情があります。

 

常に理想スケジュールと最悪スケジュールを持っておいて、自分たちの立ち位置を把握しておくのが大切です。

 

稼働率と設備総合効率(OEE)

単位時間当たりの生産量がサイクルタイムだけで決定できるなら話は簡単ですが、実際は人の動きの速さ、製品ごとのバラツキで少し少なめにアウトプットが出ます。

ここで使う係数を、「生産効率」や「設備総合効率(OEE)」と言います。

 

両者の違いで一番大きいのは以下:
生産効率は品質不良を考慮しない、OEEは不良も考慮する

 

ただこの辺をしっかり使い分けて解説できる人を海外の駐在員でも見たことが無いので、ざっくりと雰囲気だけ最初に掴んでおけばOKです。

 

  • MAXの生産個数に対する実際の生産個数の割合=生産効率
  • MAXの生産個数に対する実際の良品個数の割合=設備総合効率

くらいで認識してればとりあえず逃げられます。

 

ネック工程の発見と改善策の考え方

上でも話したように、完璧な生産計画を立てても絶対にその通りにはなりません。

ある日突然機械が故障するかもしれないし、人の作業が常に安定しているとも限りません。

 

特に、工程設計時は1軍メンバーで生産して安定した品質で仕事を獲得し、量産開始から量産メンバーに移行して運用されることも多いです。

客先、内部ともこのことに関しては了承済みで、大体は量産開始からしばらくは「初期流動期間」として様子見しながら課題を見つけて潰す取り組みをします。

 

サプライヤー側の一番の任務は「納期通りに製品を届けること」なので、良品数が目標に足りない場合は問題点を見つけて潰す必要があります。

方法としては3通り

  1. 思いついた改善案を手当たり次第に試す
  2. 発生頻度の高い問題から順番に解決する
  3. 取り組みやすい課題を改善する

経験が少ない現場では①の方法で問題解決をしたがりますが、効果が予想できないために時間がかかり過ぎるリスクがあります。(海外で仕事をしたらものの見事にみんなこの方法でやってるので驚きました)

理想は②の方法で大まかな問題を潰し、改善の予想効果が横並びになったら③の方法で最後の仕上げをしていく形です。

 

そこで必要なことが2つ

  1. 問題を洗い出すためのデータ取りをしている事
  2. パレート図を使って分析する事

 

ひとつずつ解説します

 

問題を洗い出すためのデータ取りをする

 

現場で起こる問題は大きく分けて2種類です。

  1. 機械が思ったように稼働しなかった
  2. 品質不良が思ったよりも多かった

したがって、この二つについてデータ取りを常にしておく必要があります。

 

たとえば、「機械が思ったように稼働しなかった」事を分析したいなら、機械が止まった理由と時間に関するデータを集めます。

非稼働時間分析データ取りの例
  • 工具交換:35分
  • 切粉処理:15分
  • 設備調整:20分

みたいにデータを取っていきます。

将来的には工具交換の時間も「T3工具交換」みたいに細分化する必要があるかもしれませんが、そこまでギリギリを目指すとき以外は時間の無駄になるのでコストとの兼ね合いで考えます。

 

パレート図を使って分析する

何も対策していない工程だと、大体はパレートの法則に従って問題の原因が並びます。

パレートの法則とは、2割の原因が8割の発生率を占めるという法則です。
(参考:Wikipedia

 

集めてきたデータをグラフにすると、以下の形になります。

 

そうすると、上から2個か3個くらいの問題にほとんどの割合を占めてますよね。
問題の数字をゼロにできればそれで完了、問題の数を減らすのが限界なら、また効果測定してパレート図を使って分析して、同じように改善を続けることになります。

 

最終的にはすべての問題が横並びになり、「その他」の項目が増えてくるので、後は手を付けやすいところから改善して追い込みをして完成です。

 

まとめ 生産管理で必要な事

生産管理部の最も大切な任務は、「必要なものを、必要なだけ生産して、欠品を起こさない」事です。

 

生産管理部が強い会社はコスト管理が強く、品質や生産数についても生産管理部が握っているので問題を打ち上げて改善につなげやすい傾向があります。

大手企業の代表が生産管理部出身であることが多いのは、コスト意識が強く他部門への影響力が強い事が関係しています。

基本は激務の中戦う部署ですが、同時に繰り返し作業も多いので、いかに作業を自動化できるかによって作業の大変さが大きく変わります。

 

生産管理で使う資料を自動作成するツールを作成しました。
いままでザックリ勘定で成績を残してきたけど、客先から求められて困っている人には助けになるかなと思います。

ツールはnoteにて紹介しています。
【報告資料はこれでバッチリ】生産管理ツールの紹介

 

 

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筆者も現在ものづくりについて勉強中です。

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