製造業はやめとけ。タフな人しか続かない【歴10年の筆者が解説】
就職や短期の仕事で製造業を選ぼうとすると、周りから「製造業はやめとけ」と言われることがあります。
確かにつらそうなのは想像つくんだけど、給料はいいし、わざわざ忠告される理由がわかりません。
本記事では、「製造業はやめとけ」と言われる理由を解説します。
きついだけあって、本当に給料はきちんと貰えます。
あと休みもきちんと取らせてくれます。
したがって、もし「この程度なら大丈夫」と思えば、お金のために働くのはとても賢い選択です。
短期で辞めるのもよし、自分に合いそうなら続けるもよし。
本記事を読めば、まずは製造業の辛い所について少し知れます。。
学生の頃から合わせて10年以上製造業に携わっている筆者が、中の人から見た目線で製造業をやめた方が良い理由を解説します。
私はいまだに製造業で働いているので、一緒に戦えるタフな人と、出会えたらうれしいです。
Twitterのフォローをお願いします。
Twitter:(@Japan_MFG_Tomo)
製造業はやめとけと言われる理由5つ
この最近数年から特にですが、「製造業はやめておけ」と言われることが増えてきました。
私が大学で勉強していた時は機械工学が一番人気だったんですが、たった10年で大きく変わったもんです。
とはいえ、実際に製造業で働いてみると確かにそうだよねと思うところもあるので、それを紹介します。
※設計職目線と現場目線、両方が入ってます。
私はどっちも経験しているので、その両方の視点からみた製造業っていう形で見てもらえたらなと思います。
環境によっては自己肯定感を上げにくい
まず一つ目は、複雑な製品になると自己肯定感を上げにくい事です。
現場では決められた作業標準通りに進み、行動するのを求められ、「あなたらしさ」を感じにくくなります。
ちなみにこの問題は現場でも設計職でも同じです。
決められた材料、決められた部品、決められたメーカー、決められた形状を基本に、決められたとおりに設計しないといけないので、かなりやりづらいです。
理由はどちらも標準化によるものです。
標準化とは、決められたとおりに動けば「誰でも同じアウトプットができる」という思想です。
天才は要らないから、みんな決まったように動けっていうのは日本人らしいなと思います。
夏はクソ暑く、冬はクソ寒い
工場では空調が無いか弱いか少ないかして、夏は暑く、冬は寒いです。
最近ではいくらかまともになってきたので、もう少し働きやすいとは思います。
参考記事:工場勤務は底辺すぎ?答えはNO。【今ではホワイトな人気職場もある】
設計では、ISOの決まりやお得意の「コストダウン」によって、エアコンの稼働がルール決めされていて、あっても無くても一緒じゃんという感じになっています。
不良を出すと大問題になる
製造業がなぜ「標準化」を目指すのかというと、不良品を出したらいけないからです。
基本的には大量生産で薄利多売方式を取っているので、一つの不良によって数年分の利益が吹き飛ぶこともあります。
そのために、極力変化点を減らして不良リスクをコントロールすることが求められます。
その答えが、標準化です。
ちなみに一度不良を出すとこんなことが起こります。
現場:不良が発生した原因、発生した後に気づけなかった原因をわかるまで何時間でも会議
設計:不良が発生した原因、以後不良が発生しないようにするための対策、流出防止のための仕組みの追加が完成するまで残業が続く
簡単に言えば超絶面倒くさい対応が待っています
場合によってはボーナスが減ったり、責任者が部署を異動させられたり、子会社に出向になったりします。
一度不具合を出すと面倒くさいチェックシートが追加になったり、同じ売り上げの中で不具合流出防止の仕組みを追加する必要があったり、コストに直接響きます。
一つのケガで人生を終わらせる事もある
製造業は機械を相手にして作業をするので、一つのケガで人生が終わってしまうこともあります。
(参考:神奈川労災「製造業でよくある労災事故の傾向と対策」)
したがって現場の作業員は二日酔いでの作業は止められるし、疲労過多の状況では強制的に休みを取らされます。
設計は人命に関わるものを設計していることを自覚しながら設計をする必要があるので、プレッシャーとの戦いです。
具体的には設計審査などで何重もチェックがあるので、勉強することがたくさんあります。
ここまで怖い事を言ってきましたが、製造業は向いている人には楽と感じるところもあります。
そして日本人は製造業向きの人が多いので、楽と感じる人の割合も多い傾向です。
心と身体がタフなら、製造業はむしろ楽
製造業は、心と身体が元気なら、割と楽しく働けます。
そもそも勉強に時間のかかる学問なので、勉強しながらお給料をもらい、昇進し、プロの技術者になっていきます。
周りの人も理解があるので、少しのミスは許される
大きなミスは確実につぶせるように仕事は設計されていますが、たまには小さなミスは発生します。
しかしみんな小さなミスは経験していて、むしろそこからミスの怖さを理解してもらうために敢えて失敗させるまであります。
特に現場ではよく「ははは俺もそれやった事あるわ、大変だけど頑張れよ」って温かい言葉をかけてもらえることが多いです。
…とにかく寛大です。
標準化されているので、頭を使わなくても仕事ができる
未熟な状態で製造業に足を踏み入れてきたときは、「標準化」がむしろ味方になります。
決められた作業を決められた手順で進めていくだけで経験を積めるので、「これって常識だよね」と自然に難しいスキルや知識が身に付きます。
もし転職したときに、その知識が生かされる場面が結構あります。
各部門にそれぞれプロフェッショナルがいる
製造業で仕事をやっててよかったなと思う場面の一つに、「プロフェッショナルが各部門にいる事」があります。
技術の勉強をしたいときに質問できるし、困ったらプロが問題を解決してくれるし、間近に師匠がいるのは本当に心強いです。
現場でも同じで、色んな作業のプロがいるので、技術をお互いに教え合うみたいな機会がある時は結構楽しいです。
こんな人は製造業をやめとけ。製造業に向いていない人
日本人には製造業向きの人がたくさんいます。
- 真面目
- 勉強熱心
- 丁寧に作りこむ
などなど。
しかし、体力や気合が必要な事もかなりあるので、中には向いていない人もいます。
例えば、こんな人は製造業には向いていません。
- 体力がない
- 仕事中にぼーっとすることが多い
- 余計な事まで考えてしまう
これらのことについて、少し深掘りします。
体力がない
製造業では、体力が必要になる事が多いです。
現場では言わずもがな、体力無しに作業はできません。
設計では、各部門から突っ込まれたり、お客様からの問い合わせだったり、会議が多かったり、時には終電まで残業して仕上げなきゃいけない事もあります。
しかし体力が無い人は仕事が終わる前に力尽きてしまうこともあるので、そんな人は製造業に向いていないです。
購買や人事部など、製造と直接関係のない部門であれば、十分に戦力にはなれますが。
仕事中にぼーっとすることが多い
製造業は集中力が命です。
ちょっと気を抜けばケガもするし、製品を落としてダメにすることもあります。
設計もちょっとぼーっとしている間に図面を見落としたり、計算ミスしたりってことがありますが、それがそのまま現場の製造力に関わるので、気は抜けない、集中力が無くてじーっとしていられない人は、生産管理などのよく歩き回る仕事が向いているかもしれません。
余計な事まで考えてしまう
あれを考えたら次はこれ、、、製造業で一番厄介なタイプがこれです。
会議の終盤に口をはさみ、「これだけだと心配だからあれもテストして」とか、平気で言ってくる人たちですね。
量産段階に近づいてきてから言ってくる「俺気づくぜ」タイプの人、大体仕事できないと思っています。
もし本当に大切ならば知識が共有されていて、事前に試験計画が立っているはずですが、今までなかったという事はそこまで大切じゃないという事です。
あれもこれもと考えて100点を目指すことは知見にもなっていいですが、コストがかかる事を忘れてはいけません。
現状戦えるコストと、必要な納期を考えたら余計なことを考えるだけ無駄なので、本当に必要なものを事前に洗い出しできる人じゃないと製造業の、特に設計開発には向かないです。
向いている人は、ぜひ一緒に製造業で。日本のものづくりを保存しませんか
私も機械系エンジニアとして働いていますが今でも日々勉強です。
そしてこの勉強は一生終わらないんだろうなと覚悟しています。
ただし製造業は勉強し続ける興味さえあれば未熟でも働けるので、そんな人でも良いです。一緒に働きましょう。
しかし今後自動車エンジンに変わる新たなキラーコンテンツができない限り、日本のものづくりは衰退を始めます。
日本のものづくり技術は素晴らしいので、技術は保存しないといけません。
なので、ものづくりに興味があって、ずっとものづくりし続けたい人と、将来一緒にお仕事出来たらなと思います。
これからもよろしくお願いします。
当ブログでは筆者がものづくりについて勉強しながら知ったことを記事にしています。
もしご意見、アドバイスなどありましたらお気軽に連絡をください。
LINEとTwitterのDMどちらも開放しています。
将来の夢は、製造業のみんなが気軽に集う場所を作る事です。
それでは明日もものづくり、頑張りましょう!