JIMTOF2022感想【4年ぶりに世界最大級の工作機械見本市に行ってきた】
こんにちは、ものづくり王国にっぽんの管理人をしています、とも(@Japan_MFG_Tomo)です。
「日本のものづくりを盛り上げたい」という気持ちから2022年に日本に帰国
今までの専門であった切削加工から分野を変えて、鍛造業界に移籍してきました。
ものづくり現場の最新の動向を知りたくて、JIMTOFに全日参加してきました。
https://twitter.com/Japan_MFG_Tomo/status/1589810703380406273
JIMTOF2022の全体としての感想
https://twitter.com/Japan_MFG_Tomo/status/1590546764066869248
JIMTOF全体としての大きな感想は以下の3つ。
- 4年前に大きくにぎわったIoT関係は静かになった
- カーボンニュートラル、SDGs推しの展示は少ない
- 大手メーカーの動きが各社で全然違った
個人的な小さな感動は、説明員の人の対応が昔よりかなり良くなったこと。
昔は機械を買ってくれる人がお客様でしたが、今は遠くをまわりまわって繋がる事もあるので、こういうのは嬉しいです。
数年前に大きくにぎわったIoT関係は静かになった
JIMTOF人の入り半端なかった。
コロナ前と違って中国人全然いなかったにもかかわらず!
良き。IoT的なやつは超大手くらいしか取り組んでない感じでうーん。
— でめさん@台湾企業陸マイラー (@deme19800124) November 11, 2022
JIMTOF行って分かったけど、各機械メーカーのファンシーな流行(IoTとか)は少し形を潜めた感じがあるな。4年の時を経て実直な展示に回帰した感じ。
— みるすぺ (@7bullets45ACP) November 12, 2022
JIMTOF2016~2018では、IoT関連が大きくにぎわいました。
マザックではプレゼンテーションの際にエッジ・フォグ・クラウドの概念について丁寧に教えてくれたのを覚えているし、JTEKTは設備を一切展示しないなど大きく動きましたよね。
今では流行感が落ち着いて、各社標準にIoTを入れ込んでいたり、AI機能を導入して加工条件の自動調整なんかでDX化をしていたりしてるイメージでした。
当時のIoTサービスで提案されていたものは、もともと売り手側のコト売りに使うためのツールとしての性格が強かったので、ユーザーにはメリットとして訴求するのが難しかったのかもしれません。
カーボンニュートラル、SDGs推しの展示は少ない
日本は2030年には炭素排出量46%削減や、2050年までのカーボンニュートラルを目標にしていますが、それに関連するサービスや製品の展示は少なかったような気がします。ちなみにアメリカのIMTSでも同じような傾向があったと知り合いの商社の人が言ってたので、まだ本格化はしていないみたいですね。
とはいえカーボンクレジット(オフセット)の話なんかは下請けメインのBtoB企業ができる貴重なコト売りの材料になるので、早めに情報を仕入れて準備しておくのは大切だと思っています。
大手メーカーの動きが各社全然違った
JIMTOF2022では各社全然違うコンセプトで訴求していました。
- JTEKTは工作機械メーカーから研削盤をもっと大々的に推すようになり
- マザックは3D肉盛りや摩擦攪拌接合を展示して
- DMG森はラインビルダーとしての訴求が目立ちました。
特にDMG森は面白くて、マシニングセンタ一台に対してものすごく大きな付帯設備を付けて、マガジンにセットする刃具の段取替え、パレットの段取替えなんかを自動で行えるようにしていました。HPでは良い感じの説明が見つからなくて残念ですが。(DMG森精機HP)
大手は各社とも自動車の量産ラインとしての訴求ではなく(当然EV向けは多く出展されてましたが)、より付加価値の高い方向へ移行したなという感じでした。
一時期のような、やれパワースカイビングだ、やれIoTだといった共通な方向性がなくなったので、今後どんな風に流れていくか楽しみですよね。
今年は芝浦機械(東芝機械から名前変更)に加えて、マキノでも大きな工作機械を出していました。
次のJIMTOFでは本当に大きく雰囲気が変わりそうです。
関係ない業界の人でも話をたくさん聞ける
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私は鍛造業界で働いているので加工機とは全然関係ないですが、それでもいろんな話を教えて貰えました。
鍛造だと、金型の話や加工方法の転換の話をする事もできるので、工作機械メーカーも色んな話をしてくれたのかもしれません。
加工機について
マザックでは肉盛り溶接の話を聞いてきました。
コンクリートを破砕する機械の刃になる部分を肉盛り溶接で補修して、寿命を延ばす取り組みについてお話を聞きました。
今までは刃が欠ける→廃棄だったものが、一回か二回くらいは、溶接補修で使い倒せるようです。
設備自体は高そうだったので補助金頼みな所もありそうですが、
今後の方向性としては例えば金型の補修なんかも今後は力を入れていく予定だそうです。
CAD/CAMについて
つぎに、CAD/CAMについて勉強をしてきました。
- 簡単に言うと、CADはモデルを作成するもの、CAMはNCプログラムを作る物、シミュレーションは干渉を確認するもの。
- 5軸のマシニングは特に工具干渉が起こりやすいのでシミュレーションが必要
- 5軸のCAMは、自社開発というよりは買い物をアドインしていることが多いらしい裏話
CAMでは自動でNCプログラムの吐き出しができる一方で、
手作業での修正が必要な部分もあったりして、完全自動化は敢えてやらないところがあるそうです。
CAMエンジニアの腕の見せ所は、工具の使用方法に関するデータベースや
工具の諸元の設定など、経験によって得られるものらしいです。設計というよりは、どちらかというより現場的みたい。
重いものを持つ作業の代替について
私は鍛造メーカーの人なので、金型の段取替えについて相談してきました。
現状よくあるパワーアシスト系の製品は、空圧の物で重さが30kg~80kgぐらいが限界で、
それ以上になると油圧の物が必要になりそうです(ただ展示会では油圧の物を見つけられなかった)
したがって、鍛造の金型の段取を簡単にしようと思っても、現状ちょっと難しそう。
つぎに、ロボットで段取替えをしようとすると、協業ロボは対応できる重さに限界があるので、
大きいロボットでもち上げる必要があります。
展示会に出ていた一番大きいロボットで、1.7トンの重さまで対応できるそうですが、それを何台も置くのは難しそうなので、金型段取替えのアイディアについては一旦塩漬けですかね。
来年以降に使える、JIMTOFの上手な回り方
JIMTOFでは、大まかな展示の種類ごとにホールが分かれています。
- 工作機械
- CAD/CAM、シミュレーション
- といし、工具
- 測定機器
- 油圧機器
- 3Dプリンタ
残りはスペースを埋めるような形で点々と配置されます。
見たいテーマが何かを決めて、それに従っていくべきホールを決定、そこを重点的に回るのが良いかなと。
工作機械ブースでは中小のメーカーが大手の2年後に似たような設備を出してくるので、
最新の情報を知りたい場合は大手メーカーを見て傾向を知った後に、中小がどんな隙間を埋めてくるのかを見るのが良いかもしれません。
ノベルティ集めについては、
- マザック(カバン)
- 京セラ(セラミックのグッズ)
- ソディック(ボールペン)
は毎回の鉄板な気がします。
その他は毎年様子が変わります。
JIMTOF2022のデータ
一部の人からするとこっちの方が大切かもしれませんね。
来場者は金曜日に書けて増えていき、初日と最終日は少ない傾向です。
私も火曜日~土曜日まで参加しましたが、金曜日は人が多すぎて本当に辛かったです。
おそらく金曜日出張で東京に来て、土日はそのまま観光っていう過ごし方をする人が多いんだろうなと思っています。
今年はAdditive Manufacturingというコーナーが作られたので、従来工作機械ブースで展示していた3Dプリンタを別のブースでも展開しているメーカーが多くありました。
東、南、西とすべてのホールを使うので非常に疲れますが、
もし全体を見たいなら、火曜日に東ホール→水曜日に西ホール→木曜日に南ホールと回るのが良さそうです。
距離が離れているので南館まで行く人は多くないので。
そして金曜日と土曜日は休んだりテレワークしたりで過ごして、日曜日に最後に一周する感じが良さそうですね。次回に向けての参考。