縦割り組織でこそ理解してほしい情報共有の大切さ【情報不足は弱点】
本記事を書くことになった悩み事:会議の論点になる重要な情報が、相手のところに入っていないので話にならない。
情報共有をきちんとしている組織vs情報共有をしていない組織でビジネスの打ち合わせをすると、情報共有をきちんとして事前に準備している側が圧倒的に有利になります。
一度相手が情報共有をしてない事を見つけると、これは弱点なので、悪い人はここに付け込んできます。
「この話、すっごく昔に前の担当者の○○さんと結論付けたじゃん、今更新しい事言うならお金とるよ」
と金額の交渉や、品質や工程開発の妥協点決定の際に上手く使われます。
先日、こんなツイートをしました。
大きい会社になると縦割りがひどくて、連絡担当の窓口に問題を報告しても社内には伝わってないんですよね。
後で聞くと「自分は無関係」とか平気で言ってくるので…。相手を変えるのは難しいので、まず相手を理解するところから始めたいんだけど、コミュニケーションの障害が多すぎて困ってます。
— とも@技術を知らない機械系エンジニア (@Japan_MFG_Tomo) October 16, 2021
縦割りってやる気のない社員にとってものすごく好都合で、隠れ蓑にすることができます。
大きい企業だと特に、一つの「設計」という役割に2つとか3つとかの部署が跨っていることが多くて、話をしても伝わらない事が多いですよね。
相手を見ていてそう思ったので、「これは自社でも絶対にいずれ問題になるだろう」と踏んで、今回は反面教師的に自分の組織への対策に関する対策を考えていきます。
本記事では、縦割り組織の弱点の例と、情報共有の大切さについて解説していきます。
最初に結論だけを述べておくと、情報は上司部下を含め、「上から下まで全体で共有しましょう」って話です。
共有された情報すべてに真剣に目を通す必要はないですが「こんな事あったんだ」くらいに頭の片隅に入れておくのが大切です。
部門を跨いで協業する時は、上の工程から下の工程まで全体で共有です。
開発部も、品質管理部門も、設計も、製技も、みんなです。
Twitter:(@Japan_MFG_Tomo)
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縦割り組織の弱点と情報共有の大切さ
縦割り組織の弱点は、以下の3つ
- 相手によって、まったく話が通じない
- 情報共有がないので、何も知らない
- 関わると面倒なので、放っておきたい
「お前じゃ話が通じないから、偉い人呼んで来い」案件になるってことですね。
問題を解決したくても十分な情報を持った人がいないので、「ならいいよ」と放置されて、ある日突然爆弾が爆発します。
最終的に偉い人だけが疲弊して、マネージャーがマネジメントをできなくなり、仕事の品質とスピードがどんどん弱くなっていきます。
相手によって、まったく話が通じない
会社と会社のやり取りの中で、担当窓口があると思います。
全ての内容はこの人を通さないと相手に伝えられないのに、この人が全く何も話を知らないので、話すだけ無駄になるパターンってよくありますよね。
私の事例では、「定例会」を開催したいと言われたので問題を報告し続けてたのに、数か月間何もアクションがなされてなかったなんて事もありました。
酷いときはこのツイートのように、「3か月会議をした結果、会議のフォーマットが決まった」とかいうクソどうでもいいアウトプットになる事もあります。
https://twitter.com/Japan_MFG_Tomo/status/1451511574095491074
情報共有がないので、何も知らない
会議で打ち上げて、(中国企業で、日本人が上司なので)日本語、中国語、更に英語まで駆使して催促しまくって出た結論、
「担当者を紹介するのでその人に連絡してください」
お前はなんための存在なんだと。
そして担当者に直接連絡すると、その人は技術者であはあるけど連絡担当ではないので回答は無し。
方々から連絡をしまくってさんざん催促しまくった結果、「それって何の話ですか?」
縦割りだと今起きてる問題すら情報共有されない事がしょっちゅうあるみたいです。
関わると面倒なので、放っておきたい
こうなるともう話にならないので、後は価格に転嫁、もしくは爆弾として仕込みます。
営業部の仕事が増えるんですよね…だって、お客様は価格を下げたいのに、こちらは価格を上げたい。
利害が衝突するのでうちの営業は髪の毛が減りました。
大体の事で、打ち上げて放置される問題は「打ち上げられた側の爆弾になる」事が多いです。
打ち上げた側の爆弾になるときは色んな手を使って解決するので。
天下のトヨタ自動車ですら、毎年大小関わらずリコールがあります。
系列の最大手、デンソーでも2021年は一部で大騒ぎになりました。
Yahoo!ニュース
こういうのも、もしかしたらサプライヤーからの悲鳴が届かなかった事がきっかけだったのかもしれません。
縦割り組織は作業が重複する
縦割りがひどい組織は、社内の作業が重複していることに気づきません。
「これさえやらなければ人ひとり減らせるんじゃ、、、?」
と遠巻きに思っていますが、本人たちは必死なので、可哀そうですよね。
部署ごとに同じ内容を要求してくる
私は客先連絡窓口なのでいろんな部署からいろんな「点検表」を頂きます。
購買部、技術部、品質部、色んな部署から点検表を貰うんですが、内容の7割くらいは重複しています。
そして各担当者が同じ情報を処理する
いつも可哀そうだなと思うのが、それぞれの部署が、同じ情報を処理してるんですよね。
一体何がやりたいんだろうなと思ってますが、何か決まっているみたいなのでそっとしておきます。
とはいえ内容は毎部署、毎年、ほぼ同じなので提出する側は基本はコピペ、最新の根拠資料を付けて送り返すだけです。
無駄時間ですが無駄と連絡してやり取りするほうが時間がかかるので、黙って対策するほうが得策。
情報共有の弊害で仕事が3倍に増える
とまあ、こんな感じで同じことを色んな部署がやっているせいで、仕事が3倍に増えてます。
情報共有さえできてれば秒速で仕事が3分の1に減らせるアイディアもあるんだなという事で、これから管理職になる方は参考にしてくださいね。
次に、情報共有が足りない事による大きな問題について紹介します。
情報共有が弱いと仕事でぼろが出る
情報共有が弱い企業は仕事でぼろが出ます。
我々サプライヤー側も相手を注意深く観察して仕事をしているので、情報共有が弱そうだなと思えばそこを狙い撃ちします。
しかし自社の情報共有が弱いと逆に自分からぼろを出すことになります。例えば
- 納期や価格の情報が一致せず、安い方、早い方を採用される
- 低価格かつ過剰品質の爆弾を仕込まれ、後にコストダウンの材料になる
等があります。
雰囲気で仕事をしているとおろそかになりがちですが、ぼろが出ると結構大きな問題になります。
納期、価格の情報不一致
納期と価格の情報が不一致を起こすと、社内の仕事が乱れます。
- 納期は早い方が良い
- 価格は安い方が良い
のがお客様の気持ちなので、情報の不一致を起こすと、都合の良いところをピックアップして要求される事になります。
弊社の対策はものすごくシンプルで、回答する担当者を完全に固定します。
回答できる問題も「回答するのはこの人」と指名して、裏で情報を提供します。
- 量産品の納期と、試作からすべての価格情報は営業部
- 試作品の納期は技術部
と確実に担当を分けています。
こうすることで情報の出所が一致するので、ぼろが出ないようになります。
品質の作り込みレベルの違い
情報共有が弱いと、品質の作り込みレベルの部分で衝突が起こります。
自分が客側の場合
- AさんはAという方法でOKと言った
- BさんはBという方法を要求してきた
という矛盾が起こると、「Aさんと決めたほうがコストが合うのでAでしかやりません、Bでやるならコストアップ分を請求します」と言われて返せなくなります。
自分がサプライヤー側の場合
- 開発部は全数検査を実施すると決めた
- 品質部は抜き取りで十分だと思って
なんて矛盾から、品質部が勝手に全数検査を中止して、後に大規模クレームになる事があります。
「確かに管理図を見ると全数検査が不要に見えるけど、実は管理図の作り方が間違ってて、数値が良い方向に出てるだけだった」なんて事例も見たことがあります。
「なぜ全数検査を設定したのか」という根拠を共有してなかったから起こるミスですよね。
担当が変われば放置される
両社合意していない内容で、担当者のこだわり(わがまま)で増やされた項目は、担当者が変わったタイミングで思いっきり無視されます。
「ちゃんとやるようにお願いしたし、たぶん大丈夫だろ」と性善説で考えると平気で裏切られます。
なのでこだわり部分は確実に情報共有しておきましょう。
情報共有が弱い縦割り組織だと、知らぬ間に弱点を突かれていることがあるので、自分たちの守りを固めるために意識することを最後にお話しします。(めちゃくちゃ基本的な事ですが)
情報は必ずチーム全体で共有する
今の時代、あなたも一つの会社だけにとどまる事はないでしょう。
周りの人も同じです。
となると、情報がたった一人の手元にしかなかったら…
その人が抜けたら会社が急激に弱くなります。情報戦で勝てないですからね。
なので今のうちから、情報はチーム全体で共有するという風土を作り上げておきましょう。
個人で出来る事は以下の二つです。
- 決定事項は必ず上司と共有
- 自分に有利な証拠は積極的に残しておく
少し深掘りします。
決定事項は必ず上司と共有
客先、内部、何でもいいので方針が決まったらその情報は必ず上司と共有しましょう。
理由は二つです。
- 担当者が変わった時に上司から情報提供をしてもらうため
- 相談したときの材料にするため
上司の元に十分な情報があれば担当が変わったり問題が起きたときの対処がしやすくなります。
自分に有利な内容は証拠を残す
仕事って結構いい加減なもので、人の気分によって意思決定が変わる事があります。
この危険な点は、知らぬ間に方向がずれて問題が起きたとき、前提条件がどうだったかを証明できないと、運が悪いとあなたが責任を負う羽目になる事です。
私は何か知らないけど昔からここの嗅覚が鋭かったので
「あの時のあれ、どうなった?」と言われた時や「なんであの時こうしたんだよ」と言われたときのために、インプット情報と処理過程とアウトプット情報をセットにして残すようにしていました。
今のところ大きな責任を負わされることもなく、「確かにあの時そうだったね」となる事が多いので、まあうまくいってると思います。
現在はいつもトラブルを抱えている後輩のために、本記事で話している内容を教えてあげています。
徐々に、自分の元から仕事が離れていってるみたいなので、きっとあなたにも参考になると思います。
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