KKD(カンコツ度胸)だけではダメ。俗人化されないものづくりのコツ

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KKD(カンコツ度胸)だけではダメ。俗人化されないものづくりのコツ1
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こんにちは、ものづくり王国にっぽん運営者の、とも(@Japan_MFG_Tomo)です。
最近は技術の勉強や製造業の日中通訳や技術営業職など、一つの会社にとらわれない働きをしています。

以前機械加工を専門とする会社に勤めていたんですが、そこで客先と設計変更の話がありました。(コストダウン)

 

自社の利益には一切ならず、加工が難しくて不良率が上がる事が事前データから出ていたため、一旦お断り。
しかし客先は「どうしても変えなくてはいけない」大人の事情があるらしく、「技術サポートするから」と押し切られました。

 

その時のツイートがこちら

 

「加工の専門家としてアドバイスします」との触れ込みで会議に来られたんですが、技術開発について一切提案無し。

 

「これはヤバいやつじゃ…」と思って、質問したんですよ。

 

変えられる因子が7個あるんで、全部適当に3つくらい水準振ってみて、それから最適条件を探しますか?
そしたら10万個の注文くれたら総当たりでやります。

 

 

そう、実験計画法で習うやつです。

ここからは直行表への割付の話をしたり、水準の当て方のアドバイスがあるかなと期待しました。

 

 

出てきた答えが「御社のKKD(カンコツ度胸)でお願いします!」

 

 

結局技術サポートは無し。
仕方なくこちらで現状把握と目的から逆算したパラメータの微調整で対応しました~というお話。

 

 

大手企業になると「KKD(カンコツ度胸)」って禁句なんですよ。
標準化の逆を行く言葉なので、KKDでやった後は必ず文書化して、形式知にするのが必要です。

小さい企業でも、KKDに頼ると人材不足で苦労します。(何でも屋が育たないので)
参考記事:他社の人材不足を「ざまあみろ」と言える強い組織作りの考え方

 

本記事では、

  • KKD(カンコツ度胸)とは
  • KKD(カンコツ度胸)がもたらす弊害
  • KKD(カンコツ度胸)による属人化を無くすために
  • KKD(カンコツ度胸)をやめよう

 

というテーマでお話をします。
今後日本では仕事の効率化が今まで以上に求められることになります。

 

その時に、一つの助けになるのが標準化。本記事ではそんな事を伝えられたらいいなと思います。

 

 

Twitter:(@Japan_MFG_Tomo

 

KKD(カンコツ度胸)とは

KKD(カンコツ度胸)とは、ある人または組織内での経験だけに頼った問題解決方法で、深く掘り下げると「何となくこう思ったから」に行きつく、ちょっと頼りない言葉です。

 

言い方を変えれば「経験で」とも言えますが、その経験者が担当できなければ何も実績が無いのと同じことなので、大手の企業ではKK(カンコツ度胸)の言葉を使うと叱られることもあります。

 

属人化とも意味が似ていますよね、結局は原理原則に行きついておらず理論がはっきりしていないので、後の発展が難しくなります。

 

KKD(カンコツ度胸)がもたらす弊害

KKD(カンコツ度胸)がもたらす弊害は、以下の3つ

  1. 人に納得してもらうのが難しい
  2. 検証ができないので、改善が難しい
  3. 理論化されていないので、再現が難しい

これらについて、少し深掘りします。

 

人に納得してもらうのが難しい

 

技術討論の場でKKD(カンコツ度胸)を発言してしまうと、お客様や上司そして仲間の理解が得られず、あなたにどれだけ能力があったとしても、それを発揮する場を提供してもらえません。

 

ビジネスでは、時に結果よりも「納得がいくかどうか」を重視するからです。

 

こんな事を思った事はありませんか?

なぜ世界で一番安い訳でも、一番品質が良い訳でもないのにうちの会社に仕事を任せてくれたんだろう?

きっとそれは営業の頑張りのおかげで、「お客様に納得していただけた」からなんだと思います。

 

 

しかしKKD(カンコツ度胸)に頼ると、人の納得、信頼が得られないので仕事の上では良い事がありません。

 

 

検証ができないので、改善が難しい

 

KKD(カンコツ度胸)で進めた仕事は、そもそも根拠が無いので検証ができません。

根拠が無いと何を採用して何を不採用としたのか、どんなリスクに目を瞑ったのか、他にどんな案があったのかなどが全てブラックボックスになるために、次の改善活動では総当たりで試すしかなく、改善が非常に難しくなります。

 

理論化されていないので、再現が難しい

 

A+B=Cと理論が決まっている、前後関係が決まっているものは、再現がしやすくなります。

研究成果を発表する学会でも、おおくの内容はこんな構成になっていると思います。

 

しかし「よく分かんないけどこうなった」レベルの発表では自分も他人も再現が難しいので、「本当かどうか」という判断を時に誤ります。

 

もうかなり前ですが、「STAP細胞」に関する研究では再現実験が成功せず、「本当である」と証明できるのが本人の証言しかなく、周りの目が冷ややかだった事件がありました。

 

KKD(カンコツ度胸)に頼ると、同じような現場に出くわす確率が増えますよね、なので仕事が上手く進みません。

 

 

KKD(カンコツ度胸)による属人化を無くすために

KKD(カンコツ度胸)を言い換えると、結局は「その人または組織の経験」に依存しているのか、もしくは「何となく」でしかないので、周りの信頼は得られません。

属人化のリスクは「その人しかできない」事なので、もしその人が担当から外れれば案件はストップしてしまいます。

 

やるべきことは以下の3つ

  1. KKD(カンコツ度胸)から得られたデータを集める事
  2. 得られたデータを抽象化する事
  3. 文書など形に残して標準化する事

少し深掘りします。

 

KKD(カンコツ度胸)から得られたデータを集める事

 

KKD(カンコツ度胸)で仕事をする人は、職人気質な人が多いと思います。

したがって人に物を伝えるのが得意じゃない可能性があります。

 

そんな時は、この職人さんに一人弟子を付けて、ひたすらデータ取りをしてもらいます。

  • どうやってパラメータを振ったのか
  • その結果どうだったのか
  • その次にどんな行動をとったのか
  • その他、職人さんの考えたこと

とにかく色んな情報を集めます。

 

属人化の解除は、データ取りから始まります。

 

得られたデータを抽象化する事

 

弟子から上がってきたデータをもとに、一般式、一般論、判断の癖を探していきます。

 

取れたデータが増えれば増えるほど、「たぶん次はこうやるな」というのが見えてくるはず。
それを徐々に具体→抽象化して、色んなパターンで応用が利くように整えます。

 

同時に、職人さんの弱点を見つけ、補う事を目的とする事でデータの利用価値が高くなります。

 

文書など形に残して標準化する事

 

職人さんの頭の中の情報を観察して抜き出し、解析してデータ化し、更に抽象化して他の場所でも応用可能になると、後はそれを文書化して形式知に変えれば標準化が完了です。

出来上がった標準化の作品を使って、ツールの開発、手順のフロー化をする事で、みんなが職人さんと同じ仕事をできるようになり、もっと難しい事は職人さんを先生としてもっと深く知る。

 

こんな感じで仕事を進めれば、若い人からお年寄りまで上手に役割分担をして仕事を進める事ができるようになります。

 

 

KKD(カンコツ度胸)をやめよう

本記事では、KKD(カンコツ度胸)の弊害、そしてその解決方法を紹介してきました。

最後に言いたいのは、KKD(カンコツ度胸)に頼ると日本の未来が無くなっちゃうリスクがあるという事。

 

今の日本は深刻な技術者の後継者不足に悩まされています。

これまで日本が数十年に渡って発展し続けたのは間違いなく技術力によるものでした。

しかし人手不足から技術を継承する人がいなくなり、すごい技術が徐々に絶滅に向かっています。

 

 

技術の蓄積には時間がかかりますが、失うのは一瞬。

もう一度取り返すことは、相当な困難を極める事でしょう。

 

今の私たちにできる事は日本の人口を増やす事もそうですが、技術に携わる人が1日も早く独立して、自分の腕でお金を稼げるように整えてあげる事。

 

 

「背中を見て学べ」といっても、背中を見てくれる後継者はあなたが現役の間に現れないかもしれない。

しかしあなたが引退した後にあなたに学びたい人が現れるかもしれない。

 

そうなったら、あなたがやるべきことはKKD(カンコツ度胸)を捨て、持っている技術をできる限り形に残しておく事なんじゃないかなと、私は思っています。

 

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