【技術士キーワード学習】Ⅰ:製品の公共への影響(R3-1-2)
問題文の整理
公益性の高い機械製品として、鉄道を挙げる。
考えられる故障として、例えば
- 線路の故障
- 鉄道車両の故障
- 信号機の故障
等がある。
また、この機械製品が故障することによる影響として、
- 物資運搬の停止
- 人の移動の停止
- 車内に取り残された人への健康被害
等が考えられる。
課題について
故障・破壊に強い強度設計
機械製品が故障・破壊すると公共に対して甚大な影響を及ぼすため、故障・破壊を防止することが必要である。
したがって、強度の観点から、考えられる負荷、自然環境を想定し、想定した状態でも壊れないような強度設計を行うことが課題である。
事前に保全を促すシステムによる故障時の被害の縮小
製品が故障する前には、異音や振動、異臭など、通常と異なる「異常」が発生することが多い。これらを感度良く検知することで、事前に対策を実施することができる。
したがって、予知保全の観点から、故障時の被害を小さくするために、これらの異常を検知し、事前に保全を促すシステムを設計することが課題である。
部品の交換が行いやすいようなモジュール設計
機械製品の設計時には、小さな確率で不具合が発生することを受け容れて、コストと品質を両立させている。
したがって、想定外の使用や偶然の重なりによって不具合が発生することは避けられないため、故障時の早期復旧を考慮することが必要である。
したがって、修理の観点から、部品の交換が行いやすいようなモジュール設計を行うことが課題である。
最重要課題
故障・破壊が周囲に大きな影響を及ぼす機械製品は、故障が発生した後の事後保全ではなく、故障を未然に防止する仕組みが必要であることから、「事前に保全を促すシステムによる故障時の被害の縮小」を最重要課題と考える。
解決策
異常を検知するセンサシステムの搭載
モータ等の負荷や振動の検知するセンサ、駆動を確認するためのセンサを搭載し、異常な信号を検知できるようにする。
機器のIoT化
取り付けたセンサをIoT化して、事務所や現場のモニタで稼働状況を確認する。また、数値の正常と異常を見分ける閾値を設定することや、AIによって通常と異なる波形を検知することによって、異常を発見しやすくする。
保全マニュアルの作成
異常を検知した場合に、異常の発生した箇所を特定し、部品交換や清掃など、修理を行うためのマニュアルを事前に準備することで、保守作業を標準化する。
技術効果と成果
近年、我が国では人口減少に伴う熟練技能の伝承が課題となっている。
センサによる機械の稼働状況の見える化や、保守マニュアルによる作業の標準化により、熟練者の感覚や作業手順を再現できるようになる。これにより、重要な機械製品の故障による事故の予防と同時に、技能伝承にも貢献することができる。
現時点の技術評価と将来動向
マニュアルを動画、モーションキャプチャ、AR/VRを活用して作成することで、作業手順を習得するための時間を短縮することができる。
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