【技術士キーワード学習】Ⅲ:3Dプリンタ
https://www.engineer.or.jp/c_topics/007/attached/attach_7392_7.pdf
3Dプリンタの現状
用途
- 試作品の製作
- 少量多品種製品の量産
- 複雑形状の実現(締結レス一体形状など)
精度
- ±0.1-0.2mm程度。
Z方向は積層ピッチx層数の分だけ誤差になる - 造形温度が高いと反りやすくなる
- モデルが左右非対称だと反りやすくなる
- 室温が高いと変形しやすい
- 材料が収縮する
- 積層ピッチが小さいと表面が滑らかで均一な面を得やすい
輪郭を一筆書きすると形状が奇麗になる(同じ層の中で輪郭を作る)
メリット
- ラピッドプロトタイピングができる
金型を必要とせず、試作品を作ることができる。 - 開発期間を短縮できる
金型製作のリードタイムやコストを削減できる。
フロントローディングに貢献できる。 - 開発品質の向上につながる
実物と同じ大きさの試作品を作ることができ、形状や動作の事前検証が可能となることで、品質改善をすることができる。 - 切削では作れない形状を作れる
切削では工具が届かない形状や、中空形状を作ることができ、軽量化や強度向上を図ることができる。
デメリット
製造サイクルタイム
鍛造(数秒)に対して数時間~数日と長い。
しかし、金型の製作リードタイムを考えると、試作段階では3Dプリンタの方がLTが短くなる。
したがって、試作や少量品は3Dプリンタ製造が適していると言える。
3Dプリンタの問題点と課題
精度
3Dプリンタの造形精度は、ノズルやレーザ口径および熱変形の影響が大きい。
したがって、小型の製品を製造する時は、除去加工を考慮に入れることが多い。
工程設計の観点から、3Dプリンタで目的の精度が得られるような造形が課題である。
加工時間
3Dプリンタは、材料を融かして固める工程が必要であるため、
除去加工や塑性加工に比べてサイクルタイムが必要である。
したがって量産性の観点から、溶融工程や冷却工程の速度を向上し、サイクルタイムを短縮することが課題である。
材料
3Dプリンタに使用する材料は、線材または粉体であり、一般の量産で使用される棒材よりも材料コストが高額である。
したがってコストの観点から、材料の製造を簡潔化し、入手性を高めることが課題である。
最重要課題
3Dプリンタによる造形では、従来と異なる形状を得ることが可能である。
その特性を活かすことで、自動車や航空宇宙分野など、強度と軽量化が求められる分野において、新しい開発に繋がる事がきたいできるため、「精度」を最重要課題と考える。
最重要課題の解決策
切削加工との組み合わせ
3D出力した形状をニアネットシェイプ化された素形材として、はめ合いや組付けに関係する箇所は切削加工を行うことで精度を確保する。
これにより切削工程を減らし、工程削減と精度向上を両立する。
塑性加工との組み合わせ
3D出力した形状の後工程として、冷間プレスによる塑性変形で仕上げる。
例えば、コイニングプレスにより厚みと面粗度を確保したり、ピアス加工により穴あけを行ったりすることで、精度を向上する。
温度の制御
材料の熱変形を防止するために、室温の管理、ベッド温度の管理、冷却工程の温度管理などを行い、常に一定の温度域の中で造形できるようにすることで、精度を安定させる。
解決策による効果
3Dプリンタによる成型の精度を向上し、高精度分野に3Dプリンタの製品を使用することができる。
波及効果
治具や工具を必要とせず、3Dモデルによって製造可能なため、大規模工場以外でもものづくりを行うことができ、製造業の活性化につながる。
懸念事項
拳銃など、武器の製造に使用すると、人命に関わる事故につながる。
懸念事項への対策
AIにより出力する製品を検知し、武器製造を検知した際には装置が動作しないようにする。