【技術士キーワード学習】Ⅰ:事故発生直後からの取組(R5-1-2)
重大な事故が発生した際は、以下の観点が参考にできる。
- 過去:なぜ、重大な事故が発生したのか原因を追究する
- 現在:被害を拡大しないようにするために、現状に対処する
- 未来:同様の事故が発生しない、もしくは発生しても被害を最小限に抑えられるように、再発防止を行う。
想定する機器・設備について
社会インフラに関連する機器・設備として、発電設備を挙げる。
事故により稼働が停止すると、以下のような問題が発生する。
- 電力供給量の不足
- 火力発電設備では爆発、原子力発電設備では放射性物質の漏洩等
- 系統の需給バランスの乱れによる大規模停電
課題について
重大な事故が発生した直後では、以下のことを課題とする。
供給電力の確保
事故により発電設備が停止すると、供給電力が不足し、電力需給のバランスがくずれて大規模停電に繋がる可能性がある。
したがってBCPの観点から、電力供給源のバックアップを確保し、供給電力のバランスを確保することが課題である。
二次災害の防止
発電設備の事故が発生すると、例えば燃料が漏洩して火事が発生するなど、周辺の環境や人体に悪影響を及ぼす二次災害に繋がる可能性がある。
したがって安全の観点から、二次災害を防止するための対策を実施することが課題である。
原因究明と再発防止
我々の生活は電力に大きく依存しているため、発電施設が停止すると、日々の生活や経済活動に大きく影響する。
例えば、信号機が停止して交通渋滞を引き起こすことや、医療現場で機器が使用できなくなることが考えられる。
したがって公益の確保の観点から、事故の原因究明と対策を行い、事故の再発防止をすることが課題である。
最重要課題
我が国は災害大国であるため、発電設備の事故が発生するリスクが存在する。
したがって、バックアップを確保し、有事の際にも生活や経済活動を継続できることが必要であると判断したため、「供給電力の確保」を最重要課題と考える。
現状技術と応用分野・解決策
水素の活用
エネルギーを水素の形で貯蔵し、バックアップ時に発電する場所に合わせて発電手段を使い分けることで対応する。
例えば、火力発電設備による発電では、水素の混焼および専焼によりバックアップを行い、需要家の近くで発電する場合は燃料電池による発電を行う。
蓄電池の活用
有事に備えて、事前に蓄電池に電力を充電しておき、バックアップが必要になった際には蓄電池から電力を供給することで対応する。
具体的な方法として、自動車用EVのバッテリーの再生利用、電気自動車からのV2H技術による給電を提案する。これにより、新規にバッテリー用のレアメタルを使用することを抑制し、環境への影響を最小化する。
マイクログリッドの採用
エネルギーの供給源と需要側を一定の範囲にまとめて、その範囲内でエネルギー収支を合わせ、地産地消する「マイクログリッド」を採用する。
方法として、太陽光発電や水力、風力、地熱発電等の、地域に合った再生可能エネルギーを推進し、大規模発電設備による電力への依存度を低減する。
これにより、発電設備が故障した際の被害を最小限にとどめ、また、他のエリアから余剰電力の融通を行いやすくする。
技術効果と成果
バックアップの電源を事前に準備しておくことで、万が一大規模発電設備が停止した場合でも、電力の供給を継続し、災害復旧までの時間を確保することができる。
現時点の技術評価と将来動向
火力発電設備の小型化と複数設置により、発電設備の中でもバックアップできるようにすると、有事の対策と環境対策を同時に実現することができる。
水素技術のキャッチアップ
アンモニアはどんな状況か
マイクログリッドについて詳しく