【技術士キーワード学習】Ⅰ:エネルギー需要側のGHG削減
エネルギー需要側のGHG削減についての現状
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/003_03_00.pdf
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/003_03_00.pdf
エネルギー需要側では、産業部門のCO2排出が最も多く、そのうち鉄鋼業の割合が最も高い。
鉄鋼業では、3つの工程でCO2が発生する。
- 工場を稼働させる際の電気
- 加熱工程における燃料の燃焼
- 鋼鉄を作るときの化学反応
したがって、鉄鋼業におけるGHG排出削減について取り上げる。
鉄鋼業におけるGHG排出の問題点と課題
工場稼働用電力の脱炭素化
工場の機械、コンプレッサ、照明、オフィス機器など、工場を稼働するには電力が必要である。
しかし、この電力を火力発電由来の電気で賄う場合、CO2が発生する。
したがってエネルギー起源の観点から、電力を再エネや原発由来など、カーボンニュートラルな電源から賄い、工場稼働用の電力を脱炭素化することが課題である。
加熱工程の脱炭素化
鉄鋼業では、材料を高温に加熱する必要があるため、燃料の燃焼により熱需要を満たしている。
燃料には化石燃料を用いるため、CO2を排出する。
したがって加熱方法の観点から、加熱工程を脱炭素化することが課題である。
化学反応で発生するCO2の排出低減
製鉄工程において、コークスを使用して還元を行う場合、CO2が化学反応で発生する。
したがって、化学の観点から、反応で発生するCO2を低減することが課題である。
課題の解決策
工場稼働用電力の脱炭素化
- 再エネの活用
- 原発電力の活用
- 水素、燃料アンモニアの活用
加熱工程の脱炭素化
- 高炉から電炉への転換
- 水素燃料の活用
高炉とは製鉄所の主要な設備である。
鉄鉱石を焼き固めた焼結鉱と、石炭を蒸し焼きにしたコークスを炉の中に入れて、熱風を吹き込む。
コークスはこの熱風や酸素と反応することでCOや水素などの高温ガスを発生させ、焼結鉱を溶かしながら酸素を奪う。
融けた鉄分はさらにコークスの炭素と接触して還元され、銑鉄となって取り出される。
化学反応で発生するCO2の排出低減
水素還元製鉄の実用化
CO2の回収(科学吸収法または物理吸着法による分離)とCCUSによる再利用
製鉄工程でCO2が発生する原因は、鉄鉱石Fe2O3の酸素とコークスの炭素が反応するためである。
水素還元製鉄とは、CとOの結びつきではなく水素HをOと結びつかせることで、CO2の発生を低減する原理である。
コークスは燃やすと1500℃の高温になる。
現状では、この温度が必要であるため、コークスと水素を共に使用する。
ここで発生するCO2を化学吸着法または物理吸着法により回収する。
回収したCO2はコンクリート製品やオレフィンの製造に使ったり、地中深くに固定する。