【技術士キーワード学習】Ⅰ:コンピュータの演算速度高速化

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スーパーコンピュータの現状

スーパーコンピュータとは、科学技術計算用途で大規模かつ高速な計算能力を持つコンピュータのことである。

利用例としては、機械・土木・建築分野での構造物の力学を有限要素法や境界要素法などに基づいて検討したり、化学・材料分野で分子動力学、金融の大規模数値解析に基づくシミュレーションなどに利用されている。

 

現在、国内最新のスーパーコンピュータは「富岳」であり、2019年まで稼働していた「京」は、1秒間に1京回の計算が出来た。(京は10の16乗)

 

台風の進路や強さを予測する大気シミュレーションや、心臓の動きのシミュレーションなどを行っていた。
富岳は1秒間に44京回の計算が可能(計算速度は442PFLOPS)で、新型コロナウィルスのシミュレーションを行うのにも使われた。

 

コンピュータの性能向上による問題点と課題

セキュリティの確保

コンピュータの性能が向上し、演算速度が向上すると、前兆を感じることなく演算処理が完了する。

これを逆手に取ると、IoTでインターネットに接続された自動車や発電機などの機器に対して、高速に妨害プログラムを実行することが可能となる。

 

したがってセキュリティの観点から、妨害プログラムを機器内に取り込まない仕組みを構築することが課題である。

 

技術の一般化

国内において、スーパーコンピュータの演算速度のみが速い場合、複雑な計算は全てスーパーコンピュータを通す必要がある。しかし、スーパーコンピュータは一個人や団体が占有できないため、計算にはリードタイムが必要となる。

 

したがって標準化の観点から、より簡単に一般人が高速演算を体験できるように、技術を一般化し、広く普及させることが課題である。

 

シミュレーションの計画技術

スーパーコンピュータの演算では、一般のコンピュータでは取り扱うことができない膨大なデータを取り扱うため、入力データの微調整を現場で行うと、時間やコストに大きなロスが生まれる。

 

したがって予実管理の観点から、シミュレーションを行うための実験計画を理論的に立てる技術を向上することが課題である。

 

最重要課題

我が国の労働者人口は減少傾向であり、2065年には9000万人を下回り、2100年には5000万人程度になると予想されている。

2023年現在の人口は1億2330万人であり、2065年までにおよそ25%の人口が減少することから、労働人口減少分を補う生産性を確保する必要がある。

したがって、「技術の一般化」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決策

部品の再活用

スーパーコンピュータは、たとえば富岳では、50コアCPUを16万個、およそ800万個のCPUコアを搭載し、これらを組み合わせて高速演算を可能にしている。

 

この原理を応用し、廃パソコンや役目を終えたスーパーコンピュータから部品を回収し、新しいスーパーコンピュータに再活用することで、一般的な能力のスーパーコンピュータを量産する。

 

熱交換器による効率的な冷却

スーパーコンピュータは、長時間起動すると高温になり熱暴走を起こす懸念がある。
通常のエアコンで室内を冷やすと効率が悪く、エネルギーを多く消費する。

 

高温になりやすい部位に熱交換機を設置し、本体を効率的に冷やすことで、長時間の高速演算が可能になるようにする。

 

拡張性の確保

スーパーコンピュータは、時代とともに要求される性能が向上する。
時代の変化に対応するために、あらかじめ拡張できる構造とし、要求に合わせて能力を拡張できるようにする。

 

解決策による効果

最先端のスーパーコンピュータだけではなく、一般用途のスーパーコンピュータが普及しやすくなり、一般企業や個人用途でのシミュレーション実行が行いやすくなり、科学技術の発展に貢献できる。

 

波及効果

例えば企業内にスーパーコンピュータを自作して設置することで、三次元シミュレーションの演算速度が向上し、社内のDXを推進することができる。

 

懸念事項

コンピュータの演算速度を向上するためには、高スペックのコンピュータを複数起動する必要がある。

したがって必要なエネルギーの総量が増えるため、地球温暖化など、環境への影響が懸念される。

 

懸念事項への対策

創エネ、省エネを組み合わせて対応する。

断熱性能が高く、自然を利用したZEH基準の室内で、高効率な冷却を行うことでエネルギー消費を減らし、電力を再エネ由来の電源から調達することで、環境への影響を最小化する。

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