【技術士キーワード学習】Ⅰ:徹底した省エネルギー社会について
徹底した省エネルギー社会について
2018年のエネルギー基本計画の中で取り上げられており、
- 業務および家庭部門における省エネルギーの強化、
- 運輸部門における多様な省エネルギー対策の推進
- 産業部門等における省エネルギーの加速
について記述されている。
参考:20211022_01.pdf (meti.go.jp)
ここで出てくるキーワードは
水素還元製鉄、CO2回収型セメント、人口光合成、DACCS、BECCS、コージェネレーション
産業部門の脱炭素化
省エネ+需要サイドの電化+エネルギー転換
- 低温帯の熱需要…ヒートポンプ、電熱線
- 高温帯の熱需要…赤外線による加熱、誘導加熱。それでも困難であれば、ガスの脱炭素化(合成メタン、合成燃料)
業務・家庭部門における脱炭素化
- 太陽光発電、太陽熱給湯などの再生可能エネルギーの最大限活用
- 脱炭素化された電源、熱源によるエネルギー転換
- 住宅、建築物の断熱性能強化
- 高効率機器・設備の導入
- デジタル化の進展…シェアリング、エネルギーの効率的な利用や省エネにつながる。
- テレワーク化→移動に伴うエネルギーの削減
- クラウド化による企業システムの省エネルギー
- エネルギーマネジメントシステムの高度化
都市部の熱源:都市ガスからのエネルギー転換はどうする?
地方の熱源:LPガスや灯油からのエネルギー転換はどうする?
→既存のインフラ、設備を利用可能な選択肢を追求すること。
都市ガスの主成分
(参考:東京ガスネットワーク : 都市ガスの種類・熱量・圧力・成分 (tokyo-gas.co.jp))
13A | ||
組成(%) | メタン | 89.6 |
エタン | 5.62 | |
プロパン | 3.43 | |
ブタン | 1.35 | |
ペンタン | — | |
炭酸ガス | — | |
酸素 | — | |
窒素 | — | |
合計 | 100% |
一方LP(液化石油)ガスの主成分はプロパン
違いは、メタンが主成分かプロパンが主成分か、というところにある。
メタンの特徴:空気より軽い、発熱量が少ない、炭素量が少ない、値段が安い
プロパンの特徴:空気より重い、発熱量が多い、炭素量が多い、値段が高い
都市ガスはメタネーションで対応できる。
LPガスは、グリーンLPガスを推進する。
関連技術として、
- CO2リサイクル
- FT合成
- バイオ燃料の製造
FT合成とは、合成ガスから軽油等石油代替燃料および化学品を合成する触媒反応のことである。
合成ガスは、天然ガス(メタン)、バイオマス、石炭、可燃ごみから製造できる。
ただし、課題としてレアメタルであるコバルトを大量に使用するため、この使用料を削減する方法を県境する必要がある。
建築物省エネ法や省エネ法による支援+規制を通じて2050年までにストック平均でZEH、ZEB化水準の省エネ性能の確保を目指す。
省エネ法の改正(2013年)では、
需要サイドにおける電力需要の平準化に資する取り組みを評価する措置が追加になった。
さらに省エネ法の改正(2022年)では
- 使用の合理化の対象を化石エネルギー限定から、すべてのエネルギーに拡大した。
- 非化石エネルギーへの転換の促進を求めるようになった。
- 水素・アンモニアを非化石エネルギー源として位置付けた
参考:20220301002-1.pdf (teitannso.jp)
エネルギー効率について
我が国のエネルギー効率は、1973年に対して2020年は半減しており、世界最高水準である。
運輸部門における脱炭素化
運輸部門では、
- 自動車の生産・利用・廃棄を通じたCO2排出削減
- 物流におけるエネルギー効率向上
- 燃料の脱炭素化
によってCNを目指す。
運輸部門のCO2排出量の86%が自動車→最優先でCN化する
- 燃料、エネルギーのCN化
- デジタル化とデータ連携によりAI、IoTの技術を活用してサプライチェーン全体での物流効率化、省力化によりエネルギー効率を向上する。
→モーダルシフト、共同輸配送、輸送網の集約
商用車や大型車両、船舶には
- 水素、アンモニアの利用に向けて技術開発。
- 2028年より前にゼロエミッション船の商業運行
- LNG燃料船
- 水素燃料電池船
- EV船
航空機には、
SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の導入促進
空港施設や車両のCO2排出削減などの取組を推進し、空港を再生可能エネルギー拠点とする
- SAFとは、廃食油、サトウキビなどのバイオマス、都市ごみ、廃プラスチックを用いて生産される燃料である。
- 廃棄物や再生エネルギーが原料のため、ジェット燃料と比較してCO2を60-80%程度削減する。
- 航空分野でCO2を削減するための切り札ではあるが、現状供給量が足りないため、生産量を増やすことが課題である。
徹底した省エネ
- 高効率機器の使用
- ベンチマーク制度
- 電力需要の平準化
- 断熱
- デジタルの活用
を基本として、進める。
課題と問題点(課題を遂行すべき解決項目)
家庭部門での省エネ
家庭部門では、オール電化+再エネによってカーボンニュートラルが達成できると考えられるが、徹底した省エネの中では、再エネの使用量も減らす取り組みが必要である。
したがって設備機器の観点から、建物のZEH化が課題である。
断熱、自然光や風の利用、コジェネレーションシステムの活用で解決する。
産業部門での省エネ
エネルギー需要量を産業、家庭、業務、運輸の全部門で比較すると、多くを産業部門が占めている。
したがってエネルギー利用効率の観点から、エネルギー消費を抑えた機器の導入が課題である。
トップランナー対応製品の導入、高効率機器の導入(HP化、LED化など)、未利用熱の活用
運輸部門での省エネ
運輸部門のエネルギー消費の割合を見ると、ガソリンと経由で8割以上を占めている。
また、そのうち自家用車の割合が8割以上となっており、自動車の、自家用車用途でのエネルギー消費が大きいことが分かる。
したがって移動時のエネルギー効率の観点から、自家用車のエネルギー消費を抑えることが課題である。
MAASの推進、エンジンの高性能化(ハイブリッド、リーンバーン)、エネルギーロス低減(トランスミッション、タイヤ)