CCSとCCUS【技術士キーワード学習】
CCSとCCUSについて
CCSとCCUSとは
CCSとは
ccus_brochure_0212_1_J.pdf (env.go.jp)より引用
CCSとは、Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯留技術)の略で、CO2を回収して地中に貯留するための一連の技術の事である。
製油所や発電所、化学プラントなどから排出されたガスからCO2を分離・回収し、パイプラインや船舶により地中まで輸送され、地下800mよりも深くにある「貯留層」と呼ばれる地層の中に閉じ込められる。
貯留層は、隙間の多い砂岩でできており、かつ上部が遮蔽層で覆われているため、CO2が漏れずに閉じ込められる。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の調査では、地層を適切に選定し、適切な管理を行うことで、貯留したCO2を1000年にわたって閉じ込められると報告されており、長い年月を経過したCO2は、岩石の隙間で鉱物になるなど、安定的に貯留されるものと考えられている。
排ガスをアミン溶液と接触させると、アミン溶液がCO2を吸収し、雇用益を120℃に加熱する事でCO2が分離し、CO2を吸収する事ができる。
CCUSとは
未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)より引用
Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素回収・有効利用・貯留技術)の略で、CCSに加えて燃料や化学原料として有効利用する技術の事である。
CO2を直接利用して新たな天然ガスや石油の採掘に使用する方法(EOR:Enhanced Oil Recovery)や、合成メタン、コンクリート製品の原料として再利用する(カーボンリサイクル)方法などがある。
また、単に炭素を再利用する事を指す場合はCCUと呼ぶ。
ccus_brochure_0212_1_J.pdf (env.go.jp)より引用
CCSとCCUSが求められる背景
地球温暖化の要因であると考えられている温室効果ガスのうち、CO2排出量の割合が多数を占めていることから注目されている。
2015年12月に開催された、第21回国連気象変動枠組み条約締結国会議において採択されたパリ協定において、以下の目標が掲げられている。
- 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、5度に抑える努力を追求すること(2度目標)
- 今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
このうち吸収源による除去量に貢献する技術として、CCSやCCUSが提案されている。
CCSとCCUSに期待されるメリット
CO2放出量の大幅な削減が可能
ccus_brochure_0212_1_J.pdf (env.go.jp)より引用
例えば、出力80万キロワットの石炭火力発電所にCCSを導入すると、年間340万トンのCO2放出を防ぐことができると予測されている。CCSは火力発電の他、製鉄、セメント生産、ごみ焼却などのCO2を大量に排出する分野に導入が可能である。
炭素の循環利用が可能
ccus_brochure_0212_1_J.pdf (env.go.jp)より引用
カーボンニュートラル社会では、様々な製品を化石燃料に頼らずに生産する必要があるが、CCS技術により回収されたCO2と、再生エネルギー由来のグリーン水素を反応させることにより、メタンなどの化学原料を生産する事ができる。
ごみ焼却とCCUS組み合わせることで炭素の循環利用が可能となる。
再生可能エネルギーによる余剰電力の貯蔵
太陽光発電や風力発電は出力が変動しやすいため、電気を貯蔵する仕組みが必要である。その仕組みの一つに水素を製造して貯蔵する事があるが、インフラ整備が必要である。しかしメタンは都市ガス用インフラで利用可能であるため、水素とCO2からメタンを製造する事で、水素用インフラの整備を待たずに再生可能エネルギーを普及させることにつなげられる。
以上