温室効果ガス排出削減について【技術士キーワード学習】

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温室効果ガス排出削減について

温室効果ガス排出削減の、求められる姿

近年、台風・洪水・干ばつなどの自然災害が頻発・激甚化しており、被害が世界中で大きくなってきており、これらの原因が地球温暖化によると考えられている。

これ以上災害を広げないために、温室効果ガスの排出量削減について、各国が削減目標を持って動いている。

 

我が国では、2050年にカーボンニュートラル、2030年にはCO2換算で温室効果ガスを46%削減する事を目標としている。

 

温室効果ガス排出削減についての問題点と課題

多面的な観点から、温室効果ガス排出削減の問題点3つ

 

エネルギーの脱炭素化

我が国では現状、火力発電により温室効果ガスの排出量が非常に多い状態となっており、発電におけるエネルギーの脱炭素化を行う必要がある。現状では、再生可能エネルギーの普及や安全の確保された原子力発電の稼働によりエネルギーの脱炭素化を推進している。

 

省エネ

日常的に使用される家電・生産設備などを省エネ化する事で、必要なエネルギーの総量を削減する必要がある。現状では省エネ法によりエネルギー使用量の原単位を年1%以上低減する事を求めているほか、トップランナー制度によって、製造される製品のエネルギー消費効率の目標値を定め、機器の買い替えによって自動で省エネが実現する仕組みを後押ししている。

 

温室効果ガスの回収と再利用

CCUSの技術によって、排出されたCO2を回収し、回収されたCO2をドライアイスやコンクリートブロックなどの別の製品へ利用する事や、CO2から炭素原子を取り出して水素と合成する事で燃料を製造する事によって再利用する。

 

最重要課題

カーボンニュートラルの達成を目指す際に、エネルギーの創出段階でCO2の排出を小さくすることが有効であり、我が国においてもエネルギーミックスを制定していることから、「エネルギーの脱炭素化」を最重要課題と考える。

 

最重要課題の解決方法

再生可能エネルギーの普及

変動電源として、再生可能エネルギーを普及させる。

 

太陽光発電の普及

ZEH・ZEB・ZEFの推進により、太陽光パネルの設置を進める。太陽光パネルは設置できる範囲が広く、現在ではガラスへの設置、曲面への設置が可能なペロブスカイト太陽電池などが開発されている。

 

洋上風力発電の普及

我が国は国土面積のため陸上風力発電の設備を設置するための平野部の適地が少ないが、四方を海で囲まれている環境であることから、洋上風力発電の設置が進められている。海域利用のルール整備に関する「再エネ海域利用法」が施行され、事業者が長期にわたって海域を占有できる仕組みが制度上担保されるようになり、漁業関係者や船舶運航事業者との協議により地元で調整する枠組みも定められている。

 

原子力発電の活用

最新の規制基準に対応し、安全の確保された原子力発電を稼働する事で、ベース電源として活用する。

 

水素やアンモニアの活用

火力発電を脱炭素化し、調整用電源として活用する。短期的には天然ガスと水素の混焼または石炭とアンモニアの混焼により化石燃料の使用を低減しながらCCUSによりCO2を回収・再利用し、長期的には水素の専焼により発電の脱炭素化を目指す。

現状ではNEDOのプロジェクトにおいて、神戸市に水素燃料100%の発電による市街地への熱電供給を実現しており、水素専焼の発電において、水素供給設備と燃焼器以外は既存の発電設備を流用できるためコストを削減でき、燃料としての水素の大量調達を今後の課題としている。

 

解決策による波及効果と懸念事項

解決策による波及効果

エネルギーの脱炭素化により、発電における絵カーボンニュートラルを目指すことで、温室効果ガスの排出を削減する事が期待できる。

 

解決策により新たに生じる懸念事項

電気は、需要と供給量が常に一致している必要があり、乱れると大停電に陥る可能性がある。2018年には北海道における地震の被害で日本初の大規模停電(ブラックアウト)が発生した。

日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

太陽光発電や洋上風力発電は発電量が気候や時間、季節に影響されて不安定になりやすく、広域停電の可能性が高くなってしまう。

 

懸念事項の対策

調整・非常用電源を確保する事で対応する。電力供給が過剰な際に下げ調整として蓄電池や水素の生成に電気を使用し、保存する。電力供給が不足、または停電発生時の非常用電源として蓄電池や燃料電池により電気を供給する事で対応する。

 

将来展望について

2030年目標では、再生可能エネルギーの普及により温室効果ガスの排出を2013年度比46%削減を目標としているが、2050年のカーボンニュートラル実現のためには、水素調達技術の更なる発展が必要である。

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